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バーンロムサイからの便り

Vol.21 ドイステープ詣2009/05/24

こんにちは、ボランティアスタッフの小宮です。

タイではそろそろ乾季が終わりの気配を見せ、雨季の始まりを思わせるような空模様になってきました。そんなさなかの5月7日、縫製場のメンバーと一緒に、 ドイステープという山の頂上にあるお寺にお参りに行ってきました。この日は仏誕節といって、釈迦が生誕、悟りを開き、入滅した仏教的に大変重要な意味のあ る日とされていて、タイでは全国的に仏教関連の行事が執り行われるのですが、ここチェンマイの人たちは「ドイステープ詣」、それもただのお参りではなく、 標高1,060メートルあるドイステープを、頂上のお寺を目指し、麓からひたすら歩くというのが慣わしのようです。「夜出発して、帰ってくるのは朝になる からね。でもヨー(僕のこと)はもう日本に帰るのだから絶対来るのよ!」と、もうすぐボランティアの任期を終え、日本に帰国する予定の僕に声をかけてくれ たのは縫製場のキットさん。幸か不幸か、もともと翌日がお休みだった僕は、意を決して参加することにしました。

 

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当日、仕事を終え、この時点でもうすでに疲労を感じ始めているのですが、徹夜のウォーキングラリーへいざ出発。チェンマイ大学を過ぎたあたりから、ドイス テープへと続く道はすでに人でいっぱいです。さすがに高齢者は見かけなかったのですが、それでも若者から家族連れまで、老若男女チェンマイ中の人が集まっ てきたのではないかと思うほどの人出でした。

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僕たちも車を降り、いよいよ本当に歩き始めることに。中でもひときわ目を引いたのが、チェンマイ大学の学生たち。学科ごとに分かれた集団はさながら体育会 か軍隊のごとく、先輩学生が新入生とおぼしき学生たちの士気を鼓舞し、ある時は皆で大合唱をしながら、またある時は手拍子のパフォーマンスをしながら、も のすごい勢いで突き進んでいきます。オリエンテーションの一環として、このドイステープ詣に参加しているようです。

 

歩けど歩けど…とはまさにこのこと。道は舗装された車道が続くので歩きにくいわけではないのですが、途中、大雨に遭ってずぶ濡れになったことや、日中、仕 事をしてきた疲れと睡魔も大いに手伝って、うかつにも気軽に参加してしまったことを心の中で何度悔いたことか!山登りの途中には水やお茶、おかゆやタイ風 焼きそばなどの軽食差し入れサービスのポイントがいくつかあり、巡礼者たちは皆そこで足を休めていました。

 

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出発したのが夜7時過ぎ。歩き続けること約6時間。ようやく頂上のお寺に辿り着きました。このころには皆、もう言葉を発す余力もないほどに消耗しきってい たのですが、境内へと続く参道がこれまた目まいを起こしそうなものすごい人、人、人。疲労にさらに追い打ちを掛けるかのようなその光景は、初詣の明治神宮 を彷彿とさせます。

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そしてぎっしりと人で詰まった境内は、まさに異空間。夜の闇に浮かび上がる金色の仏塔、マイクから大音量で吐き出されるお経、そして花と線香を手の前で合 わせながら何かに取りつかれたかのように仏塔の周りを歩いて回る人の群れは、ちょっとしたオカルト映画を見ているようでさえあります。その一方で、力尽き た人たちがそこかしこの空いたスペースにぐったりと寝ており、不気味なようで神聖な雰囲気も漂うその非日常的な光景を、この時の僕は、もうただひたすら ボーっと眺めることしかできませんでした。

 

人ごみを掻き分けつつ、なんとかお参りを済ませた僕たち。足は棒のようになり、頭は疲労と睡魔でフラフラ、交わす言葉もない状態です。帰り道は乗合バスで山を下りたものの、帰宅したのは実に朝8時近くでした。

 

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今回のドイステープ詣、僕は一度でもう十分、こんなに辛いとわかっていればはじめから辞退していた…というのが率直なところですが、縫製場の元気なおば ちゃんグループであるキットさんやラダーさんをはじめ、チェンマイの人たちは毎年のように来ているのだというのです。そして最も驚くべきは、同じく縫製場 のドゥアンちゃんという女の子。彼女は現在妊娠中で、お腹もかなり目立ってきているのですが、どうしても子どもを欲しかった彼女は、昨年、このドイステー プ詣に来た際に「もし子どもを授かることができたら、来年またきっと来ます」とお祈りをしたのだそう。そして今年は、自らの言葉に違わぬために、旦那さん を連れて、身重の体で徹夜の巡礼行脚。途中、見ているこちらが心配になるほどでしたが、時に旦那さんに手をひかれながら、そして時にキットさんやラダーさ んといった職場の優しい先輩たちに支えられながら、疲れた表情を見せることもなく歩き通しました。ドゥアンちゃんは普段、職場ではとても控え目で大人しい イメージがあるのですが、確実に一歩ずつ歩みを進める彼女の背中からは、母になる強さや逞しさがにじみ出ているようで、その後ろを歩く僕の心にも響くもの がありました。信仰の力というのはやはりすごいものです!

 

2009/05
ボランティアスタッフ 小宮 陽之助

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