- Vol.17 子どもたちへ働く場所を・・・、新しい支援の形2008/11/24
9月担当だった麻生です。自分の担当月をすっかり忘れていてこんなに遅くなってしまいました。ごめんなさい!!

私は毎年2回、展覧会のために日本に帰国します。この夏は、展覧会ももちろんのこと、もう一つの大きな目的は、現在中学3年生の男の子ナットを来年4月か ら日本の高校へ留学させようといくつかの学校へ名取と一緒に話をしに行くことでした。最初メールのやり取りではとても前向きに考えてくださる私立の高校が あったのですが、やはり学校ビジネスという中で、生徒数が減ることを一番恐れている学校は、HIVに感染している子どもが留学生として入学できる条件とし て、全生徒とその父兄へ事前の説明が必須というのが色々検討していただいた結果の答えでした。つまり「彼はタイから来たHIVに感染している孤児です!」 ということを事前に全員が知っている中に、うちの子どもを留学させるということです。きっと助けてくれる子ども、差別なんかしないで友だちになってくれる 子どももいるに違いありません。だけど何故HIV感染だけそんなに個人情報を公にしなくてはならないのか・・。もちろん先生の中にはとても前向きに考えて くださる方もいましたが、今回伺った学校の方針はどこも同じ、先生も従わなくてはならないわけで簡単に受け入れてもらうことは難しかったのです。結局チェ ンマイで話し合い、タイ人スタッフからは、言葉や風習が違う上にそんな環境の中、絶対行かせたくない!と猛反対、また私たち日本人もなんとも納得いかない ので、今回の留学は諦めることにしました。最初は落ち込んでいたナットですが、今は立ち直り日本語の勉強を続け、誰にも文句を言われずにきちんと留学試験 を受けて自力で日本へ行くために12月にある日本語能力検定試験に向け頑張っています。同時に留学システムがある少し難しい公立高校入学のための受験勉強 も。試験の結果はどうあれめげずに頑張ろうという姿勢は、ナットの成長の証しでもあるのです。
何故、子どもを日本へ留学させたいのか・・・、日本語で なくても良いのですが、何か外国語を一つ身に付けていることで、彼らが将来仕事をしてゆくためにとても大きな自信になり、また収入も多くなるから。縁あっ て日本人がかかわるバーンロムサイで育っているので耳慣れた日本語をきちんとマスター出来ればという思いが今もあります。もちろん留学の件は諦めていませ ん。これからも公にしなくても受け入れてくれる学校を探してみようと思っています。
現在抗HIV療法のおかげもあり、子どもたち31名はとても元気に成長しています。彼らがある程度の収入を得て自立できるようにすることが私たちバーン ロムサイのここ当面の大きな課題となっています。その背景には今はタイ政府関連機関より支援していただいている抗HIV薬がこの不安定な政情が続くタイの 国でいつ打ち切られるか分からないという不安もあり、もし自己負担となった場合、薬の耐性が出来て外国から薬を取り寄せることになればものすごく多額の薬 代を自己負担しなくてはなりません。
また子どもたちの中には、このまま社会で普通に働くことが困難な子も多く出てくると思います。縫製やゲストハウスなど寄付以外で運営費を稼ぐバーンロムサ イの試みは、将来の子どもたちの働く場の基盤づくりでもあるのです。語学を身につける、手に職をつける・・・、彼らにとって決して遠くない将来のために様 々な道筋を準備し実践する、もう来年高校へ行く男の子が3名。子だくさんは大変です!
そんな中、バーンロムサイの活動方針に共感してくださったタイ人や企業家の方が、新しい支援の形として資金を出し合いチェンマイに会社を立ち上げてくださ いました。利益は社会貢献へ還元し、資本金を寄付金と考え、その会社で社会に出て働くことが困難な子どもたちの職業訓練や働く場所を作りましょうというの が基本的理念です。その最初のプロジェクトがSAITONG(サイトーン)レストラン。有機栽培農園や自動車修理工場などなど、これから先長い目でプロ ジェクトを展開する予定。

そこでレストランの話し。10月15日にチェンマイ市内の閑静な住宅街に心地良いレストラン、SAITONGが開店しました。落ち着けるバーもあって私は とっても気に入っています。そして何よりも食事が美味しいのです。コンセプトはチェンマイにある食材を使って、日本の普通の家庭のお母さんが作る和食だけ ではない色々な国の料理。こういう家庭料理は日本独特のものかもしれませんね。スパゲティもカレーもハンバーグもシチューも中華料理もそれぞれの家庭で普 通にお母さんが作ってくれるのですから。手作りのナンと一緒に食べるドライカレーやチェンマイソーセージシチュー、豆サラダやポテトサラダ、アンチョビ ディプやネギ味噌ディップ、天むすなどなど、お薦めは書ききれません。デザートも充実しています。

ホームの中に住んでいるとわざわざ街に出かけて行って食事をするのは面倒で、自分で作って食べていたのですが、最近はこのSAITONGに良く行くように なりました。バーカウンターのはじっこの席に座って毎日違う前菜5種盛り合わせをつまみにワインを飲む。こういうお店が欲しかったのです!!

バーンロムサイの子どもたちの誕生会も先日このレストランでやらせてもらい、最初は緊張気味でしたが9月、10月お誕生日の6名は、自分でメニューをみて決めて、ビックリするくらいたくさん食べていました。色々な国の人が美味しいと言ってくれるお店だと思います。
そしていつか子どもたちの中で料理やサービスに興味のある子どもがこのレストランで働く日が来る・・・、楽しみです!
チェンマイにお越しの際は是非SAITONGへ食べに行ってみてください!2008/11
バーンロムサイ スタッフ 麻生賀津子






