- Vol.10 チェンマイに住んで4年目となりました2007/11/24
タイは乾期に入りました。3月まで続くこの季節に雨は殆ど降らず天気は安定し、観光客にとってはベストシーズンと言われています。北タイのチェンマイにあるバーンロムサイも朝晩めっきり肌寒くなり、日中の柔らかな陽射しで洗濯物もとっても気持ちよく乾きます。

11月の満月の日、タイではロイクラトーンという灯篭流しのお祭りがあります。花で飾り付けをしたバナナの葉の入れ物に蝋燭を灯し、川に流します。1年の 罪と悪霊を運び去り、新しい幸運をもたらし、さらに水の神様に感謝するお祭りで、空にはコムロイ(紙製の熱気球)が星のように夜空をおおい、川には無数の 灯が流れて行くそれはそれは綺麗なお祭りです。今年は11月23日の週末に市内外で大きなイベントがあり、私はチェンマイに住みこのお祭りを迎えるのが4 回目となりました。そしてその間に4回引越しをしました。
最初はバーンロムサイのマネージャー、ウェウ先生の家(遺跡で有名なウィアン・グムガームにある)に下宿。その後ホームと市内の中間地点の村で、平屋一戸建てを借りることになりました。ちなみに家賃は7000バーツ(当時のレートで21000円)。

ちょっと高かったのですが、庭にはマンゴーやチョンプー、ココナッツなどの木もあり、でも何より一番気に入ったのは家の裏の広場が毎週水曜日と土曜日に市 場になることでした。この移動市場は常設市場とは違ってその日に収穫した新鮮な野菜や果物が多く集まるらしく、ちょっと人気の市場です。そしてこの村で駄 菓子屋を営むブンソン夫妻は今でも私が一番親しくしているタイ人の友人。そこにはお菓子や食料雑貨、日用品や飲み物、お酒に煙草に卵まで、とにかく何でも 揃っています。奥さんのペンさんの実家から届く甘いみかんを丁寧に絞ったどこよりも美味しいフレッシュオレンジジュースが店頭で販売される時期も近づいて きました。
実はこの家に暮らし始めて8ヶ月後の雨季に2度浸水の被害にあいました。結局家を建て替えることになり、その間大家さんの別の持ち部屋に半年滞在すること になりました。そこはお堀の北側でかなり下町というかディープな場所。隣りはゲイが多く集まるディスコで、でも毎晩帰るとお店のお兄さん(お姉さん?)が 優しく車を誘導してくれて、「何か困ったことがあったら相談してね!」とウインク。タニン市場という大きな市場も徒歩圏内だったし、タイ人しか周りに居な い、でもなんだかみんな面倒見が良くて、それなりに刺激のある楽しい暮らしでした。その後建て替えてくれた立派な2階建ての家へ3回目の引越し。浸水の心 配もなくなり村の人たちともすっかり馴染みになった後、家賃が上がることがきっかけで昨年の1月にバーンロムサイの中に4回目の引越しをして、現在に至っ ています。

夕方になるとブンソンさんの店の軒先で、同じく酒好きのオランダ人ベンと一緒にタイのウィスキー「セーンソーン」(ラムっぽい味がする)のソーダ割を飲み ながら、ブンソンさん交え色々な話をするのが今ではすっかり私の休日の過ごし方になってしまいました。夕方は日雇いの仕事を終えてその日の給料で一本の煙 草と一杯のお酒を美味しそうに飲んでいるタイ人たちで軒先は賑わっています。さらにオーストラリア人、アメリカ人、スイス人なども加わることがあり、かな りインターナショナルな駄菓子屋になることも・・。みなさんタイ人の奥さんか彼女と暮らしているか、ゲイの人はタイ人のボーイフレンドと暮らしています。

軒先で飲んだ後、夕飯は必ずブンソンさんの家でご馳走になります。ペンさんは以前ホテルのレストランで働いていたこともありとっても料理上手。野菜やきの こをたっぷり使った北タイ料理は、私には丁度良い辛さ(一般的にはかなり辛い)で、家のまわりに生えている草もふんだんに使っての素朴でヘルシーな料理を 食べさせてもらえるのは何よりも幸せ!台所も清潔でガスだけに頼らず薪を使うこともしばしば。質素で清潔で無駄のない暮らしぶりの敬虔な仏教徒ブンソン夫 婦から、私はこのチェンマイでたくさんのことを知らず知らずのうちに学びました。日本に一時帰国する際には必ずお手製のナンプリック(野菜やもち米につけ て食べるもの)を持たせてくれて、東京の飲み屋でそれを出したら大好評でした。

今はバーンロムサイの中に住んでいるので、以前ほど頻繁にブンソンさんの店に行けなくなりましたが、お休みの日、明るいうちから店の軒先で市場で賑わう村の様子を眺めながらの一杯と美味しいタイ料理が、私のチェンマイでのとても大切な生活の一部になっているのです。

軒先に座って居ると色々な人たちがお店を出入りします。みんな笑顔で挨拶しあうので「微笑みの国」だなぁと実感。近所の子どもたちがお父さんやお母さんとお菓子を買いに来るという、タイのごくごくあたりまえの家族の姿を見ながら、バーンロムサイでも彼らは将来結婚し て子どもを生み、そして家族一緒に駄菓子屋に来ることは出来るのだと、セーンソーンを飲んでちょっとほろ酔いになりながら、うちの子どもたちの姿をお店に 来る家族に重ねてみたりするのも楽しい時間なのです。
2007/11 麻生 賀津子






