- Vol. 02 強く、やさしく。2006/06/28
バーンロムサイには現在2歳半から14歳までの30人の子ども達が生活している。ここは単なる孤児施設でなく、「大きな家族」である。大人が管理しやすいシステムの施設でなく、子どもが子どもらしくいられる「大きな家族」なのだ。


だから子ども達が毎日起こしてくれる、いろいろな事につい て真剣にみんなで向き合っている。普通の家庭にだっていろいろと事件は起こり、その都度親は頭を抱えて考える。それと同じ思いで、ここバーンロムサイは運 営されている。30人の子ども達と営む生活の中では毎日のようにいろいろな事が起こるのはあたりまえ。
楽しい事もうれしい事も悲しい事もびっくりする事も全ての事が30人分だ。だから面白い。特に今は子ども達の中に思春期を迎えている子もいるので、難しくもあり、楽しい時期なのかもしれない。

最近の話題といえば、その思春期を迎えた子ども達の進学、就職など将来のことだ。子ども達の多くは将来「何になりたい。」という夢を持っているようだ。し かし、現実問題タイ社会の中で、HIVということで就けない職業も多い。警察官、軍人、パイロット、医者、看護婦、学校の先生、コックさん。こういった事 をはじめ、これから子ども達の目の前には様々な壁が立ちはだかるだろう。

子ども達が成長していくということはそれぞれの世界が広がっていくということである。世界が広がれば、様々な考え方の人間に出会う事ができ、心身ともにま すます成長していくに違いない。しかし、それは守られている環境から外に出て、自らが選び闘わなければならないということだ。HIVやAIDSは社会の中 でまだまだ正しく理解されておらず、差別をされる対象になっているのが現状だ。孤児であり、HIVである彼らは社会にでれば、私には計り知れないほどの壁 がいくつも待ち受けているのだろう。今年一番大きな子ども達が中学生になった。守られている環境から外に出る日はもうすぐそこまで来ている。より良い方法 を一緒に考え、手助けは出来るが、何をどう感じ、受け止め、何を選びどう生きるかは彼ら自身にしか決められない。

私が願うのは、大きな壁にぶつかったときに、それを乗り越えられる強さをもってほしいということだ。時には苦しくて、辛くて、悲しすぎて、間違った選択を したり、下を向いたりしてしまう時期もあるかもしれない。それでもどこかで自分を取り戻して、あきらめず、自分を信じて、前を向いて生きてほしい。自分を 好きになる事はとても難しい事かもしれないけど、苦しみを知っている人はその分、やさしさも知っている人だと思うから、強くそしてやさしい人になってほしい。
私はバーンロムサイの心地の良い空気の中でボランティアとして一年半を過ごしてきた。代表の美和さんをはじめ、ここで出会った人たちから多くの事を学ばせ てもらった。もちろん子ども達からも愛情をもらい、ぬくもりをもらい、元気をもらい、たくさんの事を感じ、学ばせてもらった。私はもうすぐこのバーンロム サイをあとにする。ここで過ごした時間を大切に、これからも遠くから子ども達の事を見守り続けたいと思う。ここで学び、感じたことを胸に、次に会うときま でに私自身子ども達に負けないように少しでも強く優しい人間になっていたいと思う。
2006/6/28 バーンロムサイボランティア 麻衣子
(2005.1.11~2006.6.29)






