- Vol. 54 色々なカカオのかたち2010/04/01
桜の季節となりました。まだ肌寒い風が吹くときもありますが、桜色に染まる木々を見ながらお酒を口にすると、思わず気分が良くなって歌いたくなったりしませんか?
私は中南米に行くと青い空や星空を見上げながら地ビールやラム酒を頂くことが多いのですが、酔ったついでに踊りたくなることが多々あります。陽気なラテン音楽に合わせて、サルサやバジナート(サルサより少しゆっくりなもの)のステップを踏んでみたりと、熱帯でのひとときを楽しく過ごすのです。中南米の人たちは音楽が大好き。カカオ農園に移動するときも、ほとんどの時間車の中でラジオの音楽番組をかけています。誰もが知っている曲がかかるとサビは声を揃えて大合唱、なんてこともしばしば。
よく一緒に口ずさむのは Luis Enliqueの「Yo no se manana」とLos Genios Del Vallenato の「Malo」。どちらもラテンのゆったりとしたリズムに合わせて、ボーカルの甘い声がやさしいメロディーを奏でる曲です。緩やかな旋律が印象的で、頭の中にスッと入ってきます。動画サイトなどで聞くことも出来るので、ご興味のある方は検索してみて下さい。特にLos Genios Del Vallenatoのバジナートは、聞いているだけで楽しい気分にもなります。
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そんなご機嫌な曲に溢れている中南米では、沢山の種類のカカオが栽培されています。品種と味わいの関係に関してはここ2回ほどお話ししてきましたが、今回は形状によるカカオの分類について触れたいと思います。これまでお話しした品種による大分類の他に、カカオには“形状”によってグループに区分する分け方もあります。形状と品種はイコールの関係ではないのですが、品種によっては近しい関係にあるものも有ります。細長、丸型などの第一印象の他に、皮のシワの具合や、溝の深さなどが関係してきます。
内容そのものは難しくないのですが、名称がスペイン語なので最初は少し難しく感じられるかも知れません。それでは4つの大分類をご紹介致します。
・クンデアモール(クンディアモール)
・アンゴレータ
・カラバシヨ
・アメロナード
この区分でカカオを比べてみると、“カカオってこんなに色々な「かたち」があるの?”と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。品種と同じでパッと見ただけでは微妙に判別の難しいカカオもありますが、一般的にはこの4系統に分けて分類されます。
それではこの形状について、個々にご紹介いたしましょう。
■クンデアモール(クンディアモール)/Cundeamor(Cundiamor)
「クンデアモール」は、カカオの中でもかなりワイルドな形をしたカカオ。個人的に見つけると、ぐっとテンションの上がる好きな形のひとつです(なんといってもフォルムがカッコいい)。見かけがごつごつしていて鰐皮状の表面を持っていることが多く、頭はコーラ瓶のようにぎゅっと括れています。縦に10本走る溝が深く、その先端である尻尾はひょろりとしていて、ものによってはクイッとカーブしています。そのごつごつ感や全体的なかたちは例えるなら“ゴーヤ(苦瓜)”に似ています。
そもそも「クンデアモール」というスペイン語は、瓜科のつる植物に付けられる名前。ゴーヤも瓜科のつる植物で中米では「クンデアモール」と呼ばれますから、まさに“ゴーヤ型カカオ”と異名をつけると覚えやすいかもしれませんね。
この「クンデアモール」グループの中には、更に「ペンタゴーナ/Pentagona」と呼ばれるカカオが存在します。通常カカオは10本の溝が1つのカカオポッド(莢)の表面にあるのですが、ペンタゴーナには5本の溝しかありません。下からカカオの莢を見上げると、まさにその形は五角形。だから名前も五角形を意味するスペイン語Pentagonoから付けられました。ペンタゴーナは世界のカカオ栽培から見ると、非常に生産量の少ないカカオ。原種に近いカカオと考えられている説もあり、なかなかお目にかかることのないちょっとレアなカカオです。実際私も色々なカカオを見てきた中で、ペンタゴーナを目にしたのは2度だけ。ペンタゴーナはクリオロであることが殆どなので、これに出会うと一気に嬉しい気分になれます。
■ アンゴレータ/Angoleta
「アンゴレータ」は細長く、ごつごつ感は少なく、クンデアモールのように深い溝を持たないスラリとした印象のカカオ。「いかり肩」のように肩幅の広いことも多く、クンデアモールのようにキュッとした首の部分が殆どないのが特徴です。シュッと窄まった先端で、ペン先のように真っ直ぐの形を有します。
■ カラバシヨ/Calabacillo

「カラバシヨ」は“かぼちゃ”を意味するスペイン語calabaza(カラバサ)に由来し、「小さなかぼちゃ」を意味します。その名のごとくコロンと丸く、楕円形のかわいらしい容姿で、厚みがありツルツルッとした莢の表面が特徴。溝も浅く、首も殆ど無く、丸みを帯びたお尻(先端)のかたちをしています。一見瓜科の植物のよう。緑色から熟すと黄色に変わることが多く、この黄色が余りにかわいいので、いつも飾って置きたい気持ちになります。
■ アメロナード/Amelonado
最後は「アメロナード」。カカオの形状の中で最も耳にすることが多い名前で、“形状”と“品種”がイコールではないカカオの世界において、最近ではフォラステロの品種の系統も意味することがあるカカオです。Amelonadoの“melon”はその綴りのごとく“メロン”を意味します。メロンとラグビーボールを掛け合わせたような形状を有していることが由来ですが、メロンといってもマスクメロンやアンデスメロンといった“網目メロン”よりは、プリンスメロンやハネデューメロンといったツルンとした外皮のメロンと言った方が想像に近いと思います。
浅い溝でシワシワした感じ(ゴツゴツしたものもあります)、首周りはクンデアモールのように少しくびれていても、先端は尖がっていない(少し丸い)ことが多いかたちをしています。
1つのカカオ農園内でも様々なかたちのカカオが収穫されることはしばしばあります。収穫されたカカオの山を眺めていると、一つひとつのカカオのかたちが微妙に異なることに気づきます。
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私の小さな幸せの瞬間は、カカオ生産地を歩いて見たこともないような個性的なカカオを見つけたとき。どれにも分類が難しそうなカカオを見つけた瞬間は、ちょっぴり得をしたような気分になります。カメラに収めて大切なコレクションとして保存しています。ラテンの国での好きなものを3つ挙げてと言われたら、1. 陽気なラテン音楽 2. キンキンに冷えたビール 3. 摩訶不思議なかたちのカカオ を選ぶでしょうね。
2010/03/30





