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可可豆見聞録

Vol. 49 大人の遊び心 とろけるポップアート2009/10/05

夏が終わりを告げ、明け方には涼しさが日増しに訪れる季節になりました。いよいよチョコレートたちも本格的なシーズンを迎えます。

 

c-49-01-03.jpg世界中のチョコレートが集まる東京では、秋の到来を皮切りにショコラトリーのオープンやリニューアルが相次いでいます。中でも話題を集めているのがスペインのショコラテリアの参戦。9月3日、丸の内に新たに登場した商業施設「丸の内ブリックスクエア」には、路面店では日本発上陸となるバルセロナの「カカオサンパカ(CACAO SAMPAKA)」のブティックがオープンしました。

 

 ヨーロッパで最も古くからチョコレート文化が栄えているスペインにおいて、王室にも認められた高級チョコレートを手がけるカカオサンパカ。新規オープンの東京店にはバルセロナ本店の多彩なラインアップから選りすぐりのものをピックアップしたようで、食べて納得の味わい商品から、「ジントニック」風味のタブレット(板チョコ)や「トマトとチョコレートのジャム」といった革新的で驚きのチョコレートまで、精鋭の品々が店内を彩っています。

 

 中でも魅力的なのはワッフルコーンまで見事なココア色の「カカオソフトクリーム」。甘すぎず、冷たさの中に広がる濃厚なカカオの香りは専門店ならではの味わい。お仕事帰りに立ち寄れば、一日の疲れがソフトクリームと一緒に溶けていくような気分になります。ソフトクリームといえば夏をイメージされる方が多いと思いますが、暑さで直ぐ溶けてしまう季節より、味わいをゆっくりと愉しめるこれからの季節の方がむしろぴったりのように感じます。

 

 ちなみに、コラムVol.46でご紹介した伝統のメキシコ産カカオを使用したタブレットは現在お取り扱いがありませんが、来年には販売を予定されているとのこと。入荷された暁には、まろやかなソコヌスコ・カカオの味わいを一度お試し下さいませ。

 

 さて、秋といえば「芸術の秋」。お天気の良い日にのんびりとチョコレートを片手に"美術館めぐり"なんていうのも、この季節ならではの愉しみ。でも私たちの生活の中には意外にも身近な"アート"が沢山隠れています。今回はそんな"アート"の中でも、可愛いくて思わず食べたくなってしまう「とろけるポップアート」をご紹介いたしましょう。

 


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c-49-04.jpg チョコレートを含め、今まで"甘いお菓子"を題材としたモチーフ、例えばショートケーキ柄、アイスクリーム柄、ドーナッツ柄・・・といったものは、子供やティーンエイジャー向けの平面デザインとして扱われることが多かったように思います。

 

 ところがいつの頃からか、"甘いお菓子"が"スイーツ"という言葉に置き換えられるようになり、それらの形を立体的に模したアクセサリーやスイーツデコ電(スイーツモチーフで飾ったデコレーション携帯電話)など"リアルスイーツアイテム""スイーツのミニチュア"が市場で見られるようになりました。

 

 誰もが知っている馴染みある形なのにどこか新鮮で可愛く、毎日甘いスイーツに囲まれているような愉しい気分も味わえ、しかも"おもちゃ"よりワンランク・ツーランクも上質に見える充分な仕上がりが、どうやら大人の女性の購買欲を掻き立てているようです。

 

 この現象の背景には、スイーツがまるで芸術作品のような繊細な概観や多彩な色を持つようになった「スイーツのデザイン化」といった時代背景が重なったことも要因として挙げられます。可愛らしくてカラフルな"マカロン"はその代表格。丸くコロンとしたフォルムにピンクや黄色のキュートな色彩は、女性を惹きつける可愛さの集合体のようなものなのです。

 

c-49-05.jpg そんな"マカロン"型のアクセサリーが注目されたのは昨年3月のこと。パリの名店「ピエールエルメ」の"マカロン"など全8種のスイーツをリアルに表現したストラップが女性たちの間で大きな話題となりました。

 

 サントリーが手がける「リプトン・リモーネ」の"おまけ"として付いていたこのスイーツストラップ、本物そっくりのフォルムの緻密さと、ミニチュア版になった可愛らしさが多くの女性たちの心を捉えました。"おまけ"のストラップ効果で商品が売り切れになるコンビニしかり、インターネット上で"おまけ"が取引される現象もしかりです。特に人気で入手が困難なストラップには、元の飲料を上回る高い価格で取引される光景も見られました。

 

c-49-06.jpg 「リプトン・スイーツコレクション」と名付けられた人気のこのシリーズは、その後ベルギーのショコラトリー「ピエール・マルコリーニ」などともコラボレーションを行い、現在第5弾まで様々なスイーツストラップがシリーズ展開されてきました。もちろん毎回コンプリートを狙う、熱心なコレクターもいらっしゃるようです。

 そしてこの9月下旬、ベルギーのショコラトリー「デルレイ」との新たなコラボレーションによって、第6弾のスイーツストラップがついに市場に登場しました。丁度一昨日近くのスーパーに買いに行ったところ、第6弾が始まったばかりということもあってか、リプトン・リモーネの陳列棚はかなり品薄の状態になっていました。

 

方程式は 「スイーツ」×「可愛い」×「サプライズ」

 

c-49-07.jpg デフォルメされた平面デザインではなくアートのような本物そっくりの形状に、スイーツブランドの付加価値や、デザインに大人の遊び心をプラスすることが、どうやら潜在的なスイーツファンも含めた幅広い女性たちを魅了することに繋がるようです。

 


 ここで話しをチョコレートに戻しましょう。スイーツの世界で「チョコレート」が必然的なカテゴリーであるように、スイーツモチーフの世界でも「チョコレート」は欠かせない存在です。苺やマンゴーといったカラフルで可愛い印象の素材が多い中、茶色でしっくりとまとまるのが「チョコレート」の素敵なところ。また、この茶色はゴールドやクリスタルガラスと合わせると上品な印象になるため、大人向けのチョコレートアクセサリーにもしばしば用いられることがあります。

 

 そんなチョコレートアクセサリーの中でも、抜群のセンスに溢れているのがアクセサリーブランド「Q-pot.」。人と人とをつなぐコミュニケーションツールとしてのアクセサリーを創る「Q-pot.」は、デザイナーのワカマツタダアキ氏が2002年に立ち上げた日本発のアクセサリーブランド。

 

 「Q-pot.」のアクセサリーは、一目見ると思わず立ち止まってしまうような、不思議な魅力を秘めたアクセサリーばかり。普段"可愛いもの"には縁の無い私でも、やっぱりディスプレイの前でしばし見とれてしまいました。

 

キュートなものからラグシュアリーなものまでデザインバリエーションがとても幅広く、デザインの基礎となる素材も、チョコレート・マカロン・ビスケット・ホイップクリーム・プティガトー...と非常に多彩。しかもスイーツが季節ごとに変わるがごとく、アクセサリーも季節ごとに新作が登場するのです。

 

 創立からわずか数年で急速にファンを獲得した「Q-pot.」。実はその作品が日本のみならず、世界の女性たちから年齢を問わずに受け入れられる"グローバル・スイーツアクセサリー"であったことを2007年、パリで体験しました。

 

 その年のSalon du Chocolat Parisにてお手伝いをしていたときのこと。一緒に働いていたパリ在住のマダムが「ちょっと気になる日本のスタンドがあるんだけど、来てくれない?」と私にお願いをしてきました。理由を聞くと、その店にどうしても欲しいものがあるのに買うことが出来ないとのこと。スタンドのディスプレイ用に持ってきたものでも購入したいのかしら?と思いながら向かってみると、マダムが指差すお店の前には大勢の人々が集まっていました。

 

c-49-09.jpg 隙間から中を覗くと、そこには「Q-pot.」のブランド名と、可愛らしいスイーツアクセサリーの数々がキラキラと輝いていました。どうやらマダムはこの中の一つを買いたかったようなのです。そこでお店の人にこのアクセサリーの販売について聞いてみると、残念ながら今回は「Q-pot.」の"プロモーション"として出展しているので、物販は行っていないとの返答。こんなにスタンドにお客様が集まっているのに?と思いながらもマダムに事情を説明し、名残惜しいままスタンドを後にしました。

 

 「可愛いものに国境は無い」。パリのマダムも魅了する「Q-pot.」の活動は今や本当に国境を越え、香港の直営店オープン、パリのファッション展示会のプロデュースと多岐に渡って展開しています。海外ブランドとのコラボレーションも多く、例えば昨年/今年のバレンタインではフランスの高級食材店「フォション」とコラボレーションして、マカロンと同形のチャーム/唇形チョコレートと同形のチャームをそれぞれ発売しました。また今年はフランスのショコラトリー「リシャール」ともコラボレーションを行い、ボンボンショコラ型のストラップを限定販売しました。

 

 「Q-pot.」の商品群の中でも多くを占めるチョコレートモチーフ。ご紹介のアクセサリーの他、APPLEとコラボレーションした板チョコ柄のiPodケースや、ミントケース、バスローブは遊び心が満載。1日中甘い生活に包まれたい方は、WEBサイト必見です。

 


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c-49-10.jpg さて、私が最近購入したチョコレートデザインのものといえば、開けてびっくりの「チョコタオル(chocotowel)」。デキスタイルデザイナーの鈴木マサル氏がデザインを手がけ、タオル生産で有名な愛媛県今治市で織られた、国産のチョコレートタオルです。

 

 ちょっとサイズは小さめですが、まるでタブレット(板チョコ)のようなこの凸凹の表面が何ともリアル。色も定番のミルクチョコ色からビターチョコ色、ホワイトチョコ色、ストロベリーチョコ色、抹茶チョコ色と全5色がラインナップ。リアルなのにどこか遊び心が隠れている、手にとって思わず気分がほっこりのチョコアイテムです。ちょっとしたお礼にお渡しするのに、洒落がきいているので気に入っています。

 

 チョコレートはその香りと味わい、そして成分に科学的な癒し効果が期待されますが、本当は難しい理屈は抜きに、見るだけで甘く心を溶かす効果があるのかもしれませんね。

 

2009/09/23


* CACAO SAMPAKA http://www.cacaosampaka.jp/
* リプトン・スイーツコレクション http://www.lipton-sweets.jp/sub/about.html
* Q-pot.  http://www.q-pot.jp/

 
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