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可可豆見聞録

Vol. 41 チョコレートケーキを 科学する2008/12/26

すっかり年の瀬です。1年が経つのは本当に早いですね。このコラムが掲載される頃は2009年を迎えているでしょうから、バレンタインが近づきご自宅で チョコレートケーキを作る機会なども増えるのではないでしょうか?

 

数あるケーキの中でも、油脂や繊維質が多く、メーカーによって素材の特性や味わいが異な るチョコレートは何かと取り扱いが大変。そこで今日は、1つのチョコレートケーキについて2つの焼き方をご紹介しながら、その構造や作り方のポイントにつ いて、解説していきたいと思います。


 今日ご紹介するのはチョコレートをたっぷりと使用した“どっしりタイプ”のチョコケーキ。ココアを使用せず、リッチにチョコレートだけで香味を付けてい きます。チョコレートやバターが多いため、焼き上がりの温かなうちは持ち上げると形崩れするくらいのやわらかさですが、冷えるとコックリと濃厚な食感に変 わります。テリーヌのように冷やして薄くスライスするのがベストな食べ方。オールインワンミックスで難しい作業も有りませんので、是非一度お試しになって 見て下さい。

 

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<準備>
・無塩バターを室温に戻す。(カットしてあると作業が早い)
・キビ糖はダマのないよう、目の粗い篩でふるっておく。
・全卵は常温に戻し、良く溶きほぐしておく。
・薄力粉は3回程度振るっておく。
・クーベルチュールチョコレートは、刻んで湯煎で溶かしておく。
・出来るだけ室温を25℃前後に調温する。
・パウンド型に合わせてパラフィン紙を敷き入れる。


<作り方>
1.無塩バターをクリーム状になるまで良く練る。
2.グラニュー糖、キビ糖を1に3回に分けて加え、ホイッパーでよく混ぜる。
3.溶解したチョコレートを35℃程度に調温し、これを2に3~4回に分けて混ぜ合わせる。
4.溶きほぐした全卵を3回に分けて、ホイッパーで混ぜる。
5.振るった薄力粉を3回に分けて、へらで混ぜ合わせる。
6.オレンジキュラソー(洋酒)を少量ずつ混ぜる。
7.大きめの丸口金を付けた絞り袋に生地を入れ、型1台当たり410g生地を絞り入れ、表面をならす。


*
「硬いもの」に「やわらかいもの」を加えていくのが、生地作りの基本です。

 

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さて、この後に焼成作業に入るのですが、ここで一度生地の特徴について説明しましょう。

 チョコレートケーキを大きく分けると次の4タイプに区分できます。

  1. 卵白のメレンゲで生地に空気を含ませるもの
  2. 全卵を泡立て、生地に空気を含ませるもの
  3. バターを泡立て、生地に空気を含ませるもの
  4. 全く生地に空気を含ませないもの


 チョコレートケーキは、生地の気泡量と油脂(チョコレート+バター)量、粉の配量によって主にその食感が決まります。気泡や粉が少なくチョコレートやバターが多い程、より濃厚で重い食感に近づきます。


 ただし、比重が大きく(重たく)気泡の少ないチョコケーキ生地はバターとのバランスを調節しないと、生地の密度が高すぎて冷えたときに硬過ぎる食感になってしまいます。
 そこで今回はたっぷりのバターをホイップしてしっかりと気泡を入れて、湯煎で融かしたチョコレートと混ぜる作り方にしました。チョコレートとバターがたっぷり入るので冷却するとしっとり、でも気泡も入っているので適度な硬さの食感に変わります。


<2つの焼き方>

 ここでは7で作った生地を使用して、2通りの焼き方をご紹介いたします。


1)シンプル・ベイク

180℃(目安)のオーブンでそのまま焼き上げる方法です。
オーブンを180℃に余熱します。174mm×80mm×h60mmのパウンド型に生地を410g入れ20~25分焼成。中央が膨らみ表面が乾き、竹串などを刺して何も付かない状態になるまで焼き上げます。


生地内の水分が加熱により一気に膨張するため、オーブンから出したてはケーキが膨らんでいますが、冷えると中央部分が凹みます。その結果中央部が緻密となるため、冷却するとこの部分がぎゅっと目の詰まった食感に仕上がります。


2)包み焼き

型の上部にアルミホイルで蓋をして、180℃(目安)のオーブンで蒸し焼きする方法です。1同様生地を型に入れたらアルミホイルを型にかぶせ、同様に180℃で焼き上げます。


ア ルミ蓋によって型内部の水分が滞留し、生地内の水分や気泡がシンプル・ベイクのように大きく膨張しないため、生地がゆっくりと膨れていきます。アルミ蓋に よって熱の伝わり方(熱伝導)も変わるため、焼成には約40分~43分程度かかります。蓋を外し更に3~5分程度焼くと、仕上がりがきれいになります。


シンプル・ベイクのときとは異なり、冷却しても生地中央部は大きく凹まず、生地表面もしっとりと焼き上がります。(但し使用するクーベルチュールによっては、型底から油分がにじみ出る場合もあります)

 

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 このように焼き方、生地の密度、油脂量と気泡量を変えるだけで、チョコレートケーキは様々な顔を見せるようになります。

* 熱いうちはケーキがやわらかく崩れやすいので、粗熱が取れたら型ごと軽く冷却してからパラフィン紙を剥がすと、形崩れが少なくなります


<チョコレート選び>

 さて、レシピではヴェイス社の70%カカオとヴァローナ社の56.5%カカオの2つをブレンドして、カカオ分66.8%相当のチョコレートを使用しまし たが、一口にカカオ65%前後のチョコレートと言ってもその物性や味わいは各チョコレートメーカーによって異なります。そこでどんなチョコレートを選ぶと どんな味わいや食感に仕上がるか、富澤オンラインショップのチョコレートの中から一例をご紹介いたしましょう。

 

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 チョコレートの含有量が多い生地ほど、そのチョコレートの個性が焼き上げたケーキに現れるようになります。また苦味や甘さ の加減も異なってくるので、慣れてきたら好みの味わいに応じて、使用するチョコレートごとに砂糖やチョコレートの量を調整することをオススメいたします。 また、焼き菓子用にはレシチンが添加されたチョコレートの方が低油分で扱いやすい傾向にあります。


<バターのホイップ>

 今回のレシピではバターケーキのように無塩バターをホイップして使用しています。これはバターの「クリーミング性」という性質を利用した手法。乳脂肪がある油脂結晶型のとき、撹拌の衝撃により混ぜるほどに細かな空気を含むようになります。


  バターを常温に戻して使用するのは、ホイップをしやすくするため。バターが冷えて硬いときは、バターを入れたボールを少し湯煎に付けると熱でバターがやわ らかくなります。但し、一度溶けてしまったバターは冷やしてもホイップが出来る油脂結晶には戻らないので、熱し過ぎには注意が必要です。


 砂糖を加えてバターをホイップすると、砂糖がバター中の水分と結合するため、更にやわらかなクリーム状へと変化します。

 

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<チョコレートの加え方>
 次の作業は湯煎で溶かしたチョコレートをこのホイップしたシュガーバターに加えます。固まっているチョコレートは60℃程度の湯煎で40~45℃になる ように溶かすのがベスト。でも溶かしたてのチョコレートを直接ホイップしたバターに加えるとどうなるでしょうか?そう、チョコレートの熱でバターの油脂が 溶けてしまい、折角ホイップした気泡が消えてしまいます。


  そこでチョコレート液を加えるときは35℃程度に少し冷やし、バターと合わせるのがポイントです。逆にチョコレートやバター、たまごが冷た過ぎると、作業 中にチョコレートの油脂が固まり出し、硬くモロモロとした生地になってしまいます。美味しく作るためには生地温度の高すぎにも低すぎにも注意が必要です。


<室温に要注意>

 バターやチョコレートの含有量の多い生地は、生地が冷えてくると次第に硬くなります。硬くなった生地は作業がし難いだけでなく、オーブンで焼成するとき に浮き方が変わってきてしまうので、特に冬場は室温調整が大事(ベストは25℃程度)。室温を調整して出来るだけ生地温度が22℃を下回らないようにし て、手早く焼成の作業に移りましょう。


■ ■ ■


 どんなチョコレートケーキを作るときでも、チョコレートと生地の温度、室温に気を付けることは重要です。失敗の原因は温度にあることも少なくないのですから。


 2009年は土曜日バレンタイン。思い切って手作りにチャレンジしてみてはいかがですか?

2008/12/26

 

 
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