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可可豆見聞録

Vol. 30 カカオの味わいを 分析する -「利きチョコ」のススメ-2008/01/20

2008年を迎え、巷では少しずつバレンタインの賑わいが見え始めました。私も年明け早々から活動をはじめ、工場の中で甘いチョコレートの香りに包まれていました。

 

 さて、業界ではカカオの生まれ産地の味わいを愉しむ「産地別カカオのチョコレート」というものが90年代後半あたりから販売 されていたのですが、プロ向け、あるいはビター板好き向けの内容でなかなか消費者までは浸透しておりませんでした。2年くらい前からゆっくりと認知されは じめ、今年はやっとその蕾が花開く年になりそうな予感です。


 というのも丁度昨年の12月あたりから、出版関連の方々からそういった「利き酒」ならぬ「利きチョコ」企画のご相談を頂いたからです。各産地のカカオを使用したチョコレートにはどんな味わいや香りがあるか、どうやって「利きチョコ」をしたら良いかなど。


 カカオ豆は農産物です。品種や環境、栽培・加工方法によってそれぞれチョコレートとなったときの味わいが異なります。そこで今回はバレンタインのお菓子 作りにも使えて、余ったら「利きチョコ」を楽しく出来るチョコレートを、富澤商店のラインナップからご紹介いたしましょう。


■ ■ ■

 

<ちょっと本格的な「利きチョコ」講座>

「利きチョコ」は五感で行ないます。ここでは大まかな流れをご紹介いたしましょう。


室温:20~22度くらいが適温です。
準備するもの:白いお皿、ナイフ、ナチュラルウォーターかガス入り水(軟水)、メモ


次に深呼吸をしてから、まずは封を開けて香りをチェック(ファーストアロマ)。
そこからは目、手、耳、鼻、口、アフターの順に。

 

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目:チョコレートの色・艶をチェックします。同じビターチョコでも赤みがかった茶色だったり、黒っぽい茶色だったりと様々です。艶も見ますが、原料用のコイン状チョコはチョコレート同士がぶつかってしまうので白くなったり、傷がついてしまうことが多々有ります。


手:手で触れて、感触を愉しみます。ツルツル? ザラザラ?


耳:チョコレートの割れるときの音を愉しみます。パッキーン? パキッ? ボキッ?


鼻:口の中で息を止めてチョコレートをゆっくり融かし、鼻から息を抜きながらアロマを感じます。華やか?ワイルド?フルーティー?ナッティー?


口:舌で感じる味わいを感じます。酢っぱい? 苦い? 心地良い? 強い?


最後に余韻を味わって。スッと消える味わいもあれば、残り香が鼻腔感じるものも。


以上がテイスティングの“イロハ”。普段何気なく口にしているチョコレートも、こうやって比べると違いが見えてきます。次は実際にテイスティングして見ましょう。


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<チョコレートの個性を探してみましょう>


 私達は初めて食べる“何か”に出会ったとき、「この味は○○に似ている」といった表現を使ったりしませんか?

 それはチョコレートの香味を味わうときも同じです。口に含んだチョコレートをゆっくりと融かして行くときに、味覚と嗅覚の神経を集中させると「これはフ ルーツみたい」「これはカラメルの香りに似ている」など、チョコレート中の香味を自分の脳の中に記憶されているものと重ね合わせてイメージ化することが出 来ます。


 まず大切なのはチョコレートに対する固定概念を払って、香り、味の傾向をゆっくりと探ること。ワインやコーヒーのテイスティングのように、それぞれのチョコレートの個性を探っていきましょう。


 さて、チョコレートの味には大きく分けて「苦み」「渋み」「酸み」の3種の味があります。カカオ豆の中にはポリフェノールが含まれていますから、これが 「苦み」「渋み」の元になります。また苦みはカカオ豆を焙煎するときの度合いによっても生じます。また、カカオ豆の周りの果肉を醗酵させるときに酸の発生 し、それがカカオ豆の中に浸透していきますので、「酸み」が生じます。


 基本的にカカオ分が高いほうが「苦み」が強くなりますが、同じカカオ分が必ずしも同じ程度の「苦み」を示すとは限りません。使用しているカカオ豆の品種、追加しているココアバターの量によって異なります。ですからカカオ分はあくまで目安として捉えて下さい。


 香りに関しては本当に沢山の香りが見つけられるので、実際にチョコレートと照らし合わせながらご紹介していきましょう。


注:今回ご紹介する香味のイメージは、メーカー発表内容の他に、著者がイメージしたものも含まれております。

テイスティングは2008年1月19・20日に、室温20度/湿度60%の条件下で行ないました。

 

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 「利きチョコ」といえば、世界レベルでの第一人者、各地で活躍をされているチョコレート鑑定家のクロエ・ドゥトール・ルーセル女史が、来週数々のチョコ レートイベントの関係で来日されます。昨年から日本のマスコミでも注目を集めているルーセル女史。著書の「THE CHOCOLATE CONNOISSEUR」(英語/フランス語)には「利きチョコ」に関する沢山のポイントや味・香りに関する分析が、より詳しく紹介されています。


 「甘い」「苦い」じゃ物足りない、「美味しい」だけじゃ味気ない。 私たちの欲求は、遂にチョコレートの“個性”を味わうところにまで来たようです。

 


2008/01/20


* 富澤商店オンラインショップ http://shop.tomizawa.co.jp/
* ルーセル女史のサイト http://www.chloechocolat.com
* 「TITLE」2008年3月号P54~56にて産地別タブレットについてご紹介しております。

 
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