- Vol. 28 イタリアのチョコ祭り EUROCHOCOLATE2007/11/27
10月半ば。例年より温かい秋の日本を発ち、向かった先はイタリア・ペルージャ(Perugia)。かつてサッカーの中田英寿選手がこの街を本拠地とするセリエAのクラブチームに在籍していた、あの「ペルージャ」です。

ペルージャに足を運んだ理由はただ一つ。ここで10月13日から21日までチョコレート祭り「ユーロチョコレート(EUROCHOCOLATE)」があ ると聞いたから。期間中の来場者が100万人の記録を持つ大規模なチョコレート祭りとの噂を聞きつけ、好奇心に火がついたのがきっかけです。
イタリアの中部・ウンブリア州の州都に位置するペルージャは、ローマやフィレンツェから鉄道で2時間~2時間半程離れた人口15万人の街。急勾配の坂を抜けた丘の上に旧市街が広がり、石畳の路地、石造りのアーケード、中世から続く家並みが佇む美しい街です。
チョコレートの街というとその歴史の経緯からしてもトリノを含む北部がイメージされやすいイタリアですが、ここペ ルージャにも「ペルジーナ(PERUGINA)」という今年で創業100年の歴史を誇るチョコレート会社があります。イタリアに足を運ばれたことのある方 なら、この「ペルジーナ」の代表作となるチョコレート「Baci」(イタリア語でキスを表す「Bacio」の複数形)を一度はご覧になったことがあるので はないでしょうか?
イタリア版キスチョコのBaciは、ヘーゼルナッツの粒入りジャンドゥーヤ(ヘーゼルナッツペーストにチョコレートを混ぜたもの)にヘーゼルナッツを1 粒載せて、更にチョコレートでコーティングしたもの。イタリア人の大好きなテイストで、スーパー、タバコ屋、空港など様々な場所で見ることが出来ます。し かも一粒一粒の包み紙の中にはキスチョコだけに愛の格言入り。ハワイ名物マカダミアナッツチョコならぬ、イタリア名物ヘーゼルナッツチョコといったところ でしょうか。
もともとユーロチョコレートはペルージャの街の活性化を目的として作られたイベント。ペルージャ出身の建築家が、当時80年以上の歴史を誇っていた有名 なチョコレート会社ペルジーナのある街だからと、イベントのテーマに“チョコレート”を提唱したことが始まりだったそうです。こうして94年に始まった ユーロチョコレートは予想通りチョコレート好きなイタリア人のハートにヒットし、現在も年々規模が拡大しているとのこと。
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ペルージャまでの道のりは鉄道を使用する場合、ローマから北上するルートと、フィレンツェから南下するルートに分かれます。今回私が選んだのはローマルート。ローマ空港からローマ・テルミネ駅に一度出て、そこからペルージャ駅まで各駅停車で約2時間半。
昼時の列車に乗車し、眼下に広がるイタリアの田園風景を眺めながらゴトゴト揺られ進むのんびりとした旅です。途中ユネスコ世界遺産に登録されている街「アッシジ(Assisi)」を通るので、時間のある方は途中下車する旅も良いでしょう。
先にお話ししたように、ペルージャは旧市街地が丘の上にあるため駅から会場付近のバスターミナル(旧市街地)までを繋ぐバスが運行しています。到着した日 はユーロチョコレートの開催初日であったため、駅から会場直行のシャトルバス“CHOCOLINE”が頻繁に行きかっていました。
ユーロチョコレートの会場はとにかく大きい。実際会場に足を運ぶまでその規模が予想出来なかったのですが、旧市街のメインストリートとセカンドストリート、レンガ造りの美術館を中心に旧市街の中心地がまるまる会場となっているのです。毎年ご紹介しているサロン・ド・ショコラ・パリはEXPOの建物内で開催されるチョコレートの見本市ですが、こちらは太陽の下行われる青空見本市(一部館 内で開催)。路上で地元、地方のチョコ屋や海外ブランドが各々のスタンドを出店しているのです。伝統の手作りチョコ・チョコ菓子、高級板チョコから機械工 業生産のチョコレートまで、市場に様々な種類のチョコレートが溢れるイタリア。ユーロチョコレートの世界は、そういった市場の縮図を見ているかのようで す。
初日のユーロチョコレートはとにかく人が沢山。人気店の周りは近寄れないほど人が集まって、時には歩けないことも。ペルージャは山間の街、山間の冷たい 風が時折吹くこともあるのですが、そんな寒さにも負けず、子供からご年配の方まで皆年に1回のチョコレート大イベントを愉しんでいる様子。
会場内はチョコレートのスタンドの他、名産のサラミを使用したサンドイッチやコーラの新商品試飲、焼き栗・焼トウモロコシ、ゲームコーナー、パントマイ ム、風船売りのおじさんなど何でも有りのお祭り状態。趣のあるレンガ造りの館内では、チョコレートのテイスティングやカカオ生産国のパネル紹介などのイベ ントも行なわれていました。
それでは会場の様子を、地図や写真とともにご紹介いたします。
会場内映像リンク http://www.eurochocolate.com/it/perugia2007/chocolive.html?date=2007-10-13



■ ■ ■スペインから伝来したイタリアのチョコレートの歴史は古く、それはバロック初期の文化が花開いていた17世紀まで遡りま す。その昔、コジモ3世に好まれたジャスミンの香り高きチョコレート、あるいは新たに登場したシトロンの香りのチョコレートのように、既にスペインにて確 立された現代チョコレートに通ずる飲むチョコレート技法の基礎を、その創造とともに鮮麗させた時代でした。
時スペイン・ポルトガルに続きイタリアで好まれていたチョコレート。メキシコ伝来のそのレシピには、カカオ、砂糖の他にバニラやシナモンの甘い香り、ま たしばしば唐辛子がテイストの一片として加えられていました。ところが、この唐辛子がことのほか当時南部のスペイン領を除いたイタリア人の口には合わな かったようで、彼らのレシピから唐辛子は省かれていたそうです。
数年前のユーロチョコレートをきっかけ に、現在では唐辛子入りチョコレートが密かなブームを呼んでいるイタリア。マヤの時代からチョコレートに加えられていた伝統的な副素材「唐辛子」をチョコ レートが伝わった頃は受け入れず、現代になってカカオとの新鮮な組み合わせとして受け入れるなんて、少し面白いですね。
今では市場の2極分化が進み、伝統のチョコレートと工業製品のチョコレートが共存するイタリア市場。空港でも、カカオのクオリティーに特化したアメ ディーやドモーリの高級チョコレート、伝統手法で作られたジャンドゥーヤとともに、BaciやFerrero Roche(フェレロ・ロシェ)のような工業製品を同時に見ることが出来ます。
ユーロチョコレートの会場でも多くのスタンドで見られたイタリアの伝統チョコレート「ジャンドゥーヤ」。イタリア のチョコレートを語る上で外せないこのチョコは、ヘーゼルナッツ(多くはイタリア・ピエモンテ産)をペースト状にしてチョコレートと合わせ三角形にしたも ので、甘くクリーミーなヘーゼルナッツとカカオのテイストが楽しめます。
19世紀トリノのカフェレル社によって作り出されたジャンドゥーヤは、 もともとカカオが不足していた時代の転換策として生まれたチョコレートですが、今ではイタリアを代表するチョコレートになりました。濃厚な美味しさは、寒 い季節苦味の効いたエスプレッソと良く合います。■ ■ ■

ところでイタリアでは一般的にビターチョコレートは「CIOCCOLATO FONDENTE(チョコラート・フォンデンテ=とろけるようなチョコレート)」と表記されます。同じラテン語でもフランス語は「CHOCOLAT NOIR(ショコラ・ノワール=黒いチョコレート)」、スペイン語では「CHOCOLATE NEGRO(チョコラテ・ネグロ=黒いチョコレート)」と表記されるのに、何故イタリアだけ“フォンデンテ”なのでしょう?
もともとスペイン領だったイタリア南部やシチリアでは“ザラザラ”とした飲料用のチョコレートが今でも製造されて います。飲料用チョコレートの呼称には諸説有り、一説にはチョコレートを指すナワトル語の“ショコアトル(Xocolatl)”が語源となり、これがスペ インに伝わり“ショコラーテ(Chocolate)”、その後イタリアに伝わり“チョコラート(Ciocolato)”に変わったと言われています。そこ から紐解くと“フォンダンテ”の呼称も、その歩んできた歴史が背景にあるのかもしれません。
ユーロチョコ レートの会場を見ていて気付くことは、とにかく板チョコレートの需要が高いこと。イタリア人一人当たりの年間チョコレート消費量は日本人の約2倍 (4.2kg/年:2004年)。会場の盛況振りを見る限りではもっとチョコレートを食している印象が有るのですが、実はイギリス人やベルギー人の半分以 下。にもかかわらず人口15万人のペルージャでこれだけ盛り上がるのですから、日本でも大会場で青空チョコレート見本市を開催したら、今は潜在的に抑えて いる人々のチョコレートへの欲求が、意外と大爆発するかもしれませんね。
§番外編 オススメSHOP&HOTEL§
ペルージャの旧市街ヴァンヌッチ通り(ユーロチョコレートのメインストリート)にある、1860年創業の「Sandri」。現存するペルージャで最古の バールで、朝早くからコーヒーやパンを頂くことも出来ます。パティスリーとしての品揃えも豊富で、オススメはジェラートと、ウンブリア州伝統菓子・トルチ リオーネ。
また、折角ペルージャに宿泊するならチョコレートに囲まれたホテル「ETRUSCAN CHOCOHOTEL」はいかがでしょうか?室内にもチョコレート、ロビーにはイタリア中から集められたチョコレートが並び、レストランではチョコレート を使用したメニューが多数用意されています。ユーロチョコレートのシーズン中は非常に込むので、半年以上前からの事前予約をオススメします。
2007/11/27
1907年創業、100年の歴史を誇るペルージャの「Perugina」は、1988年よりネスレグループの傘下となっています。
* EUROCHOCOLATE(イタリア語/英語 他) http://www.eurochocolate.com/it/home.html
* Perugina の代表商品「Baci」(イタリア語) http://www.baciperugina.it/ita/intro.asp
* Perugina(イタリア語) http://www.perugina.it/templates/default.aspx
* ETRUSCAN CHOCOHOTEL(イタリア語/英語) http://www.chocohotel.it/






