- Vol. 23 Enjoy!! New York Chocolate -RECOMMEND編-2007/06/24
フランスを中心とした西欧のチョコレートは、今自国から国外へ向けてとても元気に飛び回っています。日本はその有力な“ターゲット”。東京を制覇し一段落したショコラトリーは名古屋へ、大阪へ、福岡へとその販路を延ばしている状況にあります。

それはここニューヨークについても同じように言えること。いつの間にか「ラ・メゾン・ドュ・ショコラ」、「リシャール」、「ピエール・マルコリーニ」のブティックがマンハッタンの中に鎮座し、在住フランス人のみならず、地元アメリカンにも愛されるようになりました。
その背景の一つにはフランスの“サロン・ド・ショコラ”のニューヨーク版“チョコレートショー・ニューヨーク”の大きな成功が挙げられます。1997年 から始まり今年で10回目を迎えるチョコレートショー。2005年の第8回の会場には、約1,124坪(40,000平方フィート)の敷地内に65店舗の 出店と、4日間で30,000人もの人々が来場しました。
パリのサロン・ド・ショコラ同様チョコレートドレスのファッションショー、トップパティシエやシェフによるデモンストレーションが行なわれるこのイベン トでは、来場者の85%が大人たち。10年に渡るこのイベントの継続と進化は、視覚に味覚にと肥えたチョコレートファンがここニューヨークに多く存在する ことの証しなのです。
そんなニューヨーカーたちのチョコレートへの渇望を満たす新たなチョコレートショップが、今密かに話題を呼んでいます。それは続々とオープンするフレンチショコラの中でも知名度の高い「ミッシェル・クリュイゼル」のカフェ。そう、富澤商店のオンラインショップでも取り扱っている、あのブランドです。
ニューヨークのみならず、アメリカのグルメストアに行くと頻繁に見かけるのがミッシェル・クリュイゼルのタブレット(板チョコレート)。フランスからの 上陸は随分前であったように記憶していますが、その路面店はマンハッタンに2005年11月オープンと、意外にも最近のことでした。今回、この店を知ったのはVol.21でご紹介した雑誌「CAFE-SWEETS」が きっかけです。パリにあるミッシェル・クリュイゼルのブティックはとても小ぢんまりとしているのですが、雑誌の中で見るマンハッタンの店はとても大きくて モダン。しかもマネージャーは日本の方とご紹介されているではないですか。これは是非行って見なくては、ということで今回のニューヨーク滞在中に立ち寄っ てみました。
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マンハッタンのミッシェル・クリュイゼルは大型家具店「ABCカーペット」内に併設されています。ABCカーペットのエントランスから暖色に彩られた様 々なインテリア雑貨を眺めながら進むと、パッと目の前に楕円形のショーケースと、アーチ型のガラステーブルカウンターが登場します。ここがミッシェル・ク リュイゼルのカフェ。

店内を拝見しスタッフの方に質問をしていると、こちらのマネージャー・山中さんをご紹介して下さいました。全くアポ無しの突然の訪問で申し訳ないなぁ・・・と思いつつも、折角の機会なので山中マネージャーに色々とお話しをうかがいました。
こちらのカフェ、随分雰囲気がパリ本店と異なるので不思議に思っていたところ、どうやらミッシェル・クリュイゼル氏とこちらのオーナーであるリチャード・パール氏との共同経営であることが判明。
パリの本店にはカフェは無く、チョコレートを買って帰るブティックのみですが、こちらはスタイリッシュなのに温かみもある店内で、本格的なショコラ・ショーやアシェットデセール(皿盛デザート)が頂けるチョコレートファンにピッタリの空間。
男性のニューヨーカーが一人でチョコレートを愉しんでいても似合いそう。天井がはるか遠くにあり曲線を要所に使用している店内は、インテリアショップの中に併設されているせいもあってかどこかやさしい雰囲気。
そういえば、他のチョコレートショップではいつもテーブル席でチョコレートを頂いていましたが、こんな風にカウンターに座って、ニューヨーカーたちが チョコレートを楽しむ姿を同じ高さの目線で横から眺めたのは、ここに来て初めてだったように思います。誰かの幸せの時間や笑顔のおすそ分けを肩越しに感じ られるのは、こちらまで幸せになるようで心地よいものです。

楕円状の大きなショーケースには、本店で見たことの無いボンボンショコラが沢山並んでいます。キャラメルとプラリネクロカントのきのこ型チョコ、かわい いプリントチョコ…etc。こちらではパリ本店より品揃えが多いそうで、1$からお試しできるテイスティングタブレットも用意されています。
また最近のグルメニューヨーカーはチョコレートへの情熱がひとしお。そんな彼らを満足させる充実のサービスにも余念がありません。例えばこの店のオーナー、リチャード・パール氏によるボンボンショコラとお酒とのマリアージュを楽しむ有料セミナーなども開催されています。
中山マネージャーのオススメは、こちらのカフェで人気上昇中のショコラ・ショー(ホットチョコレート)。生クリームをプラスして作るこのショコラ・ ショーはニューヨークで口にしたどれよりも濃厚。一口目にはカカオ豆の豊潤な香りが感じられ、程好い甘さとミルクのコクが入り混じって喉をやさしく通り抜 けます。重厚な香りとしっかりとした口当りに思わず目を閉じてしまうかも。前回ご紹介したマリベルニューヨークのものよりも、更にリッチなテイストです。
そしてこのショコラ・ショー人気を追う様に登場したのがご家庭向けのショコラ・ショー。かわいらしいミルク缶に、小さなカレット状のチョコレートがたっ ぷりと詰まっています。このチョコを牛乳やお湯で溶いて作るだけで本格的な味が楽しめるホームメイドセット。ニューヨーク限定とのことですので、行かれた 時にはお土産に1ついかがでしょうか。
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さて、これまでニューヨークのチョコレートショップを紹介してきましたが、今回の滞在中に行きたかったお店がもうひとつ。デザート専門店の 「CHIKALICOUS(チカリシャス)」です。先にご紹介したミッシェル・クリュイゼルから、地下鉄で一駅先のイーストビレッジに位置します。
ここは日本人パティシエ チカ・ティルマンさんとそのご主人が経営の小さなデザートレストラン。オープンキッチンで提供されるメニューは、全てデザー ト。それもパティスリーに行って“このケーキとお茶を下さい”ではなく、デザートを「フルコース」でゆっくりと頂くスペシャルなお店なのです。
店名の「チカリシャス」とはチカさんの名前と、美味しいを表す「デリシャス」が一つになった造語。ニューヨークの有名レストランでシェフを務めた経験を持つチカさんが、高級レストランのデザートの味を色々な方に食べてもらいたいというコンセプトで生まれました。

だからメニューは前菜(アミューズ)、メイン、最後のデザート(プティフール)までが全てデザートのコース設定で、メインは7種類のデザートの中から選 べるにもかかわらず一律$12(約¥1,400)。グラスワインを付けても$19(約¥2,300)とお値打ち。物価の高いここニューヨークにおいて、驚 くほどに良心的な価格なのです。
2003年7月、イーストビレッジにオープンしたチカリシャスは、日本のみならず現地メディアからも高い評価を受けている実力店。私はガイドブックやテレビで目にしたことがあり、ニューヨークに行くなら是非足を運びたいと何年も思い続けていた店の1つでした。
訪れたのは日曜日の昼下がり。午後3時にはお店が空くのですが、並ぶこともあると聞いていたので少し早めに来店。と、どうやら早すぎたようで、まだお店 は準備中。大きなガラスで隔てられた向こう側では小さな女性が一生懸命準備されています。その人こそチカさんでした。その仕事の丁寧さ、手際の良さは店の 外からでも眺めることが出来ます。

早すぎたので近所を散策。この近くはVol.21でご紹介したマックス・ブレナー・チョコレートの2号店などを含む、オープンカフェ密集地域。雲ひとつ無い日曜午後の昼下がり、おしゃべり大好きニューヨーカー達でカフェはどこも満席です。
3時5分再来店。すると既に小さなお店の半分はお客様で埋まっていました。店内はオープンキッチンに清楚なデザインのL字カウンターとテーブル席。辺りを眺めメニューに目を通しているうちに、気が付くと店内は満席状態。
常連らしきアメリカ人の若いカップル、少し年配の女性がお友達同士で、留学中らしき日本人の女性3人組、私の隣に3回目の来店という学生の男の子。チカさん、ご主人、他スタッフ2名。これでもうお店は一杯です。本当に小さいのに、居心地はちっとも悪くない。
シェフは満席の状況にも慣れているようで、焦ることも無く実に手際よくデザートを盛り付け。カウンターに座るとオープンキッチンなので、その様子が良く 分かります。見ているだけでもワクワクするのがオープンキッチンの醍醐味ですね。時々話しかけると、手先は休むことなく動きながらも、とてもやわらかな口 調で返してくれます。
この日のアミューズは紅茶のゼリー。メインは有名なチーズケーキを敢えて選ばず、ヨーグルトのパンナコッタをオーダー、プティフールはカルダモン風味の トリュフ、プティシュー、ココナッツのマシュマロ。どれも口の中でとろける食感や、計算された程好い甘さ。一皿ごとにその繊細さが感じられます。
デザートとコーヒーを頂いているときに隣の男の子と話をしたのですが、学生の身分だから毎日は来られないけど、ご近所だし、ここのデザートは美味しいの ですっかり虜になったとか。ちょっとほかの事を我慢すれば手に届く値段なので、こうやって余裕のあるときにお店で美味しいヒトトキを味わっているそうで す。
ビルが立ち並ぶ都市マンハッタンで、静かなイーストビレッジに足を運び、いつもより少しだけ贅沢をしてデザート尽くしの美味しいヒトトキをのんびりと過ごす。それはきっとご夫婦が作る家庭のようなデザートレストランだからこそ、味わえる美味しさなのでしょう。
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ミッシェル・クリュイゼルも、チカリシャスも、どこか温かさがお店に詰まっています。ニューヨークで美味しいものを食べたくなったときだけでなく、ぬく もりが恋しくなったときも、ご紹介したお店でお腹も心も満たしてはどうでしょうか。「来てよかった」身体に染みていく安堵感が感じられると思います。

* MICHEL CLUIZEL NYC http://www.chocolatmichelcluizel-na.com/
MICHEL CLUIZEL PARIS http://www.cluizel.com/
* CHIKALICIOUS http://www.chikalicious.com/2007/06/24






