- Vol. 20 輸入チョコレートの移り変わり2007/03/27
先日、お世話になっている方から幸運にも東京ミッドタウンのプレオープンにご招待頂き、一足早く行って参りました。このコラムがWEBにアップされる頃は既にグランドオープンを迎え、皆様の中には足を運ばれている方がいらっしゃる頃かと思います。
東京、名古屋と新商業施設の建設ラッシュが続く中、最近は必ずと言って良いほど、こういった施設へのショコラトリーの出店が見られるようになりました。間近のオープンでは、以下2施設が挙げられます。
3/6 OPEN 名古屋ミッドランドスクエア :
ベルギー「ピエール・マルコリーニ」
3/30 OPEN 東京ミッドタウン :フランス「ジャン・ポール=エヴァン」
アメリカ「NOKA」
*アメリカセレブご用達で人気の高級チョコレート

名古屋の「ピエール・マルコリーニ」は、国内初のパティスリー部門を併設。銀座や羽田店では取り扱っていない、限定のエクレアが頂けます。東京ミッドタ ウンの「ジャン・ポール=エヴァン」は併設カフェで初めてキッシュなどの軽食サービスを始めるそうです。こういった立地に合わせた店舗の個性が有るのは嬉 しい企画。
日本で話題の海外ショコラトリーは、どの店もハイソサエティをターゲットにしたショコラを取り扱っていますから、大人がもらって嬉しいセンスの良いショコラが新商業施設の定番になってきているのも納得です。
■ ■ ■こういった輸入チョコレートには様々なカテゴリーが有ります。上記のような高級ショコラブティックもあれば、スーパーや輸入食品店で陳列されるカジュアルチョコも。
いったいどのくらいのチョコレートが日本に輸入されているのだろう?と思ったときは、日本チョコレート・ココア協会のサイトを見ると便利です。国内チョコレートに関する様々な統計を閲覧することが可能です。その中のチョコレート輸入統計を参考に、海外から日本へ輸入されるチョコレートの2001年~2005年における主要8カ国の輸入動向を比べてみました。

国内に輸入されているチョコレートのうち、実に8割がこの8カ国で占められています。
この推移を、時間を横軸、数量を縦軸に取ると、次のグラフになります。
現在のフランス高級ショコラブームの火付け役「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」は1998年に、続いて「リシャール」が2000年、「ジャン・ポール=エ ヴァン」は2002年にそれぞれのショップをオープンしました。サロン・ド・ショコラなどのバレンタインでのイベントを含めたフレンチショコラ人気の効果 からか、フランスのチョコレートの輸入量は右肩上がり。
また根強い人気のベルギーも、新旧ブランドの入れ替えは激しいものの、こちらも緩やかながら右肩上がりの傾向を示しています。ちなみに高級ベルギーチョコを牽引している「ピエール・マルコリーニ」が銀座ブティックをオープンしたのは2001年。
フランスもベルギーも、ヴァローナ社(フランス)やカレボー社、ピュラトス社(ともにベルギー)のパティスリーなどが使用する、クーベルチュールチョコレートの人気が上がっていることも見逃せません。
反対に輸入量が減ってきているのがアメリカンチョコレート。チョコレートキングもヨーロッパ勢の勢いに圧倒されているのか、特にベルギーチョコレートの 輸入量との差が年々縮んできています。このままでは後数年したら、輸入キングの座がベルギーに奪われてしまうかも知れません。
同様にオーストラリアもその量が激減。オーストラリアとアメリカのチョコレートに共通することが、どちらも甘いチョコレートが多いことと、パティスリー向けの原料チョコ(クーベルチュールチョコ)は殆ど輸出されていないこと。
対してヨーロッパ、特にフランスのチョコレートが日本人に評価されている理由の一つとして、素材の美味しさが引き立っていることが言われます。甘さの中 にあるカカオの旨み、ミルクのコク、バニラの香りなど。そして少しずつビターチョコレートに傾いてきた日本人の嗜好に、ピッタリと当てはまっているので しょう。原料チョコ市場でも同じようなことが言えます。
日本のチョコレートもここ数年で格段に美味しくなってきています。しかも国産品は輸入品と比べるとお値段がお手ごろ。そうなると、益々アメリカやオーストラリアのチョコは輸入量が頭打ちになってしまうかもしれません。こうやって見比べると、輸入量の移り変わりは市場を反映していて面白いですね。輸入量が急上昇の中国なんて、意外では有りませんか?一度どんなチョコレートが増えているのか、今度じっくり調べてみたいと思います。
それにしてもこのグラフ、2006年から2010年は、どのように変化するのでしょうか。■ ■ ■
新たな輸入チョコレートに出会う機会がつい先日有りました。
3月中旬に幕張メッセで行なわれたFOODEXです。これは世界中の食品メーカーが勢ぞろいする「食」の展示会で、今年は世界64ヶ国から2,400社 を超える企業が参加、来場者も4日間で95,719名のビックイベントです。きっとこのコラムをご覧の方で足を運ばれた方も沢山いらっしゃるでしょう。生 産者にとっても、バイヤーにとっても、新しい「食」市場を探すチャンスが詰まっているのです。この会場内で、2つの新たなチョコに出会いました。
一つはオーストラリアブースで見つけたCOCOAFARM社のヴィンテージ・ワインチョコレート。親会社はイギリスに有りますが、原料のカカオとブドウ はオーストラリア産。オーストラリアンチョコレートと言っても、私達が一般的に持っているその印象とは異なる、ワイン好きのためのチョコレート。リアルな ブドウ、それもシラー、メルロー、ピノ・ノワールといった、ワイン用のブドウ一房が描かれているパッケージが、それを象徴しています。食べてみると確かに ブドウの味に個性が有って、美味しい。市場に既に出ているレーズンチョコとはひと味違います。どこかでこのチョコレート、見たことが有るような・・・と考え込んでいると、“料理通信2006年10月号”に小さな記事で紹介されていたことを思い出しました。本当に小さな記事でしたが覚えていたのは、ここがオーストラリアに自社カカオの農園を持っているからです。聞くと確かに工場はオーストラリア南部ですが、北部に自社農園を持っているとのとこ。「オーストラリア産カカオ」、これは世界でもとても稀なカカオですので是非機会が有ったら、見に行ってみたいものです。
只今日本国内の代理店を募集中とか。どなたかご興味ある方は、連絡されてみて下さい。
さてもう一つは、イタリアのICAM社。イタリア北部のチョコレートメーカーで、クーベルチュールチョコレートを中心としたチョコレート原料や、自社ブランドチョコレートを作っている会社です。驚いたのは、ここはココアバターをマイクリオのように粉末状にする技術を持っていること。この技術、世界で2社しか持っていないのですが、その1つがこのICAM社でした。
カカオ豆は11,000tを生産国(マダガスカル、エクアドル、ドミニカ共和国など)から直接輸入し、クーベルチュールチョコレートだけでなく、ココアなども自社で製造しているそうです。
ほんの5分だけ話しを聞くつもりが、その場で数種のチョコのテイスティングが始まり、そのままチョコレート談義に花が咲いてしまった結果、気が付いたら 閉館時間。帰るときには会社案内のDVDやらCO-ROMなど、様々なアイテムを下さいました。これは宣伝活動を宜しく!、ということなのでしょうか?この会社はオーガニックのチョコレート原料も製造していますし、とても美味しいホワイトチョコレートも製造しています。あまりイタリアのホワイトチョコ で美味しいものには出会ったことが無かったのですが、ここのは違います。甘さも上品ですし、バニラをダイレクトに使用しているのでバニラ粒がホワイトチョ コの中に練り込まれているのです(日本ではこのバニラが異物と誤解される可能性が有りますが)。
こちらも代理店募集中だそうです。パンフレット、DVDとCD-ROMをご覧になりたい方は、当方までご連絡を。■ ■ ■

輸入チョコレートの勢力図は、今後どのように変わるのでしょうか?チョコレート戦国時代と化して生き残りが厳しい昨今、未来を予想することが本当に難しくなってきました。
余談ですが、FOODEX会場の入り口ではアメリカンチョコレート「ハーシー」の100周年宣伝がお出迎えしていました。アメリカンチョコレートの輸入 量が減少しているとは言え、皆が知っているハーシーが100歳を迎えたということは、そのチョコレートが多くの人々に愛されてきた証拠でしょう。
果たして100年前のミルトン・S・ハーシー氏は、100年後のチョコレートにどんな夢を見ていたのでしょうか?
* 日本チョコレート・ココア協会 http://www.chocolate-cocoa.com/
* COCOAFARM(イギリス:英) http://www.cocoafarm.co.uk/
* ICAM(イタリア:伊) http://www.icamprofessionale.it/2007/03/27






