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可可豆見聞録

Vol. 6 SALON DU CHOCOLAT PARIS 20052005/12/02

日ごとに寒さが増してきて、チョコレートが恋しくなるのは日本だけではありません。セーヌ川の木々が色づき始め、柔らかな日差しが窓際に差し込む、フランス・パリもチョコレートの季節を迎えました。

今年も10/22~10/25の期間、パリではチョコレートの祭典「サロン・ドュ・ショコラ」が開かれました。1回目のコラムでもご紹介しましたが、パリ の人々なら知らない人はいないくらいの大イヴェント。このサロンが近づくと、メトロのあちらこちらに特大ポスターが貼られ、構内で待つ人々からは「ショコ ラ」に関する話が囁かれ始めます。

 

 

c-06-01.jpg私は普段日本に住んでいるのですが、このイヴェントが大好きで、開催前になるとすべての仕事を一度ストップして、チケットを片手にパリへと飛び立ちます。 前にもお話した通り、2回前からスタンドのお手伝いもしているので、期間中は前日の搬入から終了の撤収まで、フルタイムでサロンを満喫します。
ここでは美味しいショコラを頂けるのはもちろん、マカロンやパン・デピス、コンフィチュールといった様々なフランス菓子に出会うことも出来ますし、それ を作り出すショコラティエやパティシエの話しに耳を傾けるもの楽しみの一つ。でも私にとって一番の楽しみは、会場を埋め尽くす沢山の人々に会えること。幸 せそうにショコラをほお張る人、棒付きショコラをせがむ子供、どのショコラにするか悩んでいる老夫婦、いったい幾つのスタンドで買い物をしたのかわからな いほどの荷物を抱えるご婦人を眺めては、この国のショコラ文化が、一人ひとりのショコラを愛する小さな気持ちが集まって成り立っていることを、肌で実感し ます。

それにしても今年はスタンドのお手伝いが本当に忙しく、毎日会場に居てもなかなか良い写真をベストタイミングで撮ることが出来なかったので、今回はパリ 在住のカメラマン 加瀬田紀雪さんにお願いして、会場内の様々なベストショットを取って頂きました。さすがプロの腕前とプロのレンズ。私のお伝えしたいこ とが、すべて写真に詰められています。

 

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今回のサロン・ドュ・ショコラで最初にご紹介したいのは、「ショコラ・マッサージ」。丁度前回のコラムでチョコレートの美容効果についてご紹介したばかり なのですが、何ともタイムリーなことに今年はカカオコスメやココアテラピー関連の出店が増え、中でもこのサロン始まって以来の「ショコラ・マッサージ」に は、常に大勢のギャラリーが集まって、注目を集めていました。
内容は・・・と言えば、写真を見て頂ければ一目瞭然。茶色のショコラを身体につけて、ボディーやフェイスを、入念にやさしくハンドマッサージ。マッサー ジを受ける人は、最初はどうなることかと緊張した顔からスタートするのですが、茶色の螺旋が背中に顔にと広がって行く度に、段々キモチ良さそうな幸せ顔 に。中にはペロリとひと舐めしている人もいたそうです。前回お話ししたとおり、カカオの油脂は保湿性が高く、加えてカカオの香りによるリラックス効果も期 待出来るので、その香りがハンドマッサージの温もりと混ざり合い、人々を幸せの顔へと導いたのでしょう。確かに甘いショコラに全身包まれたら、身も心も溶 けてしまいそうですよね。残念ながら私は体験が出来なかったのですが、カメラマン加瀬田さんのお友達はフェイシャルマッサージを体験されたそうで、笑顔で 私にご報告して下さいました。そのお肌の艶やかなこと。

 

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さて、ココからはトピックス的に、会場内の様子をまとめてお伝えいたします。何しろ「サロン・ドュ・ショコラ・パリ」の会場は一日では見きれない程大きく て、お伝えしたいものが沢山。加瀬田さんの素敵な写真と一緒に、暫し会場の気分を味わって下さい。(一部筆者撮影を含みます)

 

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今年も熱かったショコラドレスのファッションショー。さすがはファッションの都・パリです。ショコラドレスをまとったモデル一同がステージに並ぶ姿は、まさに圧巻。その中でも、特に気になったドレスをご紹介いたします。

東京にも支店のある「ラ・メゾン・ドュ・ショコラ」のショコラドレス。中世フランスのドレスを彷彿とさせる大きなデザインで、一枚一枚幾何学的なライン にチョコレートプレートを配置し、モザイク的な模様を作り出しています。ショコラティエのパスカル・ル・ガック氏とともに。それにしても一体何kgあるド レスなのでしょう?

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日本でもファンの多いジャン=ポール・エヴァン氏のショコラドレス。デザイナー ポール・カ氏の、シャープさの中にエレガントな要素がいっぱいの見事なデザイン。特に襟元からスカートまで流れるラインの柔らかさと、ショコラのすっきりした模様が対照的でモダンな作品。

 

 

 

 

 

 


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キャラメルC.B.S.(塩バターキャラメル)で有名なル・ルー氏のショコラドレス。テーマは「蝶の夢」。白いドレスに舞うショコラの蝶々、背中に描かれ た「夢」の大きな一文字。この無駄なく洗礼され、今にも飛び立ちそうなデザインは、まさにル・ルー氏ご自身を表しているかのようです。デザイナーは中国人 でパリ在住のオーレリー・シェレル女史。ちなみにこの「夢」の一文字には、ある裏話が隠れているそうです。

 

 

 

 

 


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ショコラトリー・シャポンのパトリック・シャポン氏のショコラドレス。今年は愛娘に似合うピンク色のふわふわショコラドレスを製作。お姉さんモデルに混じっての堂々の登場に加え、このキュートな笑顔。まさに幸せを運ぶショコラの天使です。

 

 

 

 

 

 

 

 

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ジャン=リュック・ドゥクリュズー氏によるショコラの世界のアダムとイヴ。こんなにセクシーなドレスは、過去のサロン・ドュ・ショコラには無かったのでは?と思うほど大胆。司会者もびっくりの“熱いキス”の演出付きに、会場は大盛り上がりでした。

 

 

 

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カカオの焙煎からショコラ作りを手がける、プラリュー氏のショコラドレス。フランスではショコラ・ブラン(ホワイトチョコ)は消費量が少なく、カカオの焙 煎からチョコレートを作るプラリュー氏とは対照的な存在ですが、敢えてそのショコラ・ブランを使っての白いドレスに挑戦。美しく、清楚でエレガントなドレ スは、“黒のショコラ”も“白のショコラ”も知っている氏だからこそ成せる技。

 

 

 

 

 

 

 

 

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次は会場内で気になったワンシーンをご紹介。

 

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パリ郊外にあるマカロン専門店「マカロン・グルマン」。バリエーション豊富なマカロンと同様、ショップカラーもとってもキュート。マダムがとても元気な方で、オープニングには自慢のマカロンの指輪(?)とハートチョコ型のネックレスで登場です。

 

 

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只今デ・ヌーヴィルのシェフが、渾身の力を込めてショコラの塊を彫刻中。出来上がりは、右のような彫刻になります。最近のショコラ細工の流行は、艶が良い ものや色の付いたもの、チョコレートを霧状に吹く“ピストレ”技術を用いたものなどが多いですが、ショコラの塊を彫って作る細工には、ショコラティエ自身 の魂と、カカオの息吹が感じられます。

 

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日本でも人気の「ラ・メゾン・ドュ・ショコラ」。今年初めて大きなスタンドを構えたパリの名店は、モダンな外装に連日沢山の人が集まっていました。あの高級なトリュフ(日本で¥300/粒)が試食で配られていたので、思わず2つも手に取り、何だか得をした気分です。

 

 

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ショコラトリー・プラリューの“プラリュリーヌ”を成型中。“プラリュリーヌ”とは、ブリオッシュ生地にピンク色のアーモンド砂糖がけを練り込んで焼き上 げたもの。これから会場内にある釜で焼き上げるところです。この“プラリュリーヌ”、焼きたての美味しさは格別(もちろん冷めても味が馴染んで美味しいで す)。私の居たスタンドの目の前なので、お昼になるとこの焼き上げた香りで、空腹の私はいつもクラクラしていました。
プラリューはショコラもとても美味。カカオの焙煎から作るショコラは、中でも産地別カカオタブレットをカラフルにラッピングした“熱帯のピラミッド” (写真右)が人気商品。まさに、カカオの旨みの詰まったカカオ屋のタブレットです。プラリューは原料ショコラも手がけていて、多くの有名ショコラティエも 自身のショコラを作るときに使っているそうです。日本でも一部の原料ショコラは購入することが出来ます。

 

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日本からの唯一の出店「マダム・セツコ」の巧みなショコラ細工。この細かい技には、さすがのフランス人もビックリだった様子。密かに抹茶ブームのパリで は、和風チョコをラインアップしたこちらのスタンドが大人気で、最終日には売るものが・・・と関係者が嬉しい悲鳴を上げていました。

 

 

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ボンボン・ショコラの実演中にあつ~くショコラについて語るル・ルー氏。茶目っ気タップリの元気なおじいちゃんは、本当にショコラに対して誠実でまっすぐ な方なので、一度話し出すと実演が止まってしまうこともしばしば。今回は新作「トマト・バジル」と「クリスティーヌ(クリスマス・スパイスとオレンジゼ リーのショコラ)」のショコラが大人気で、その新しい風味に多くの方が魅了されていました。

 



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カカオ生産国の民族音楽を披露。この会場内には、ベネズエラ、コートディボアール、サントメ&プリンシペなどのカカオ生産国の出店もあり、お国のカカオや 文化を披露していました。華やかなショコラ世界の裏を支える、こういったカカオ生産国が一緒に出店することに、サロン・ドュ・ショコラ・パリの大きな意味 を感じます。

 

 

 

 

 

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女性だけでなく、男性もショコラの試食に積極的。いえ、むしろ男性の方が積極的なときも。日本でも、このところ特に30代~40代の男性を中心にショコラ の購買層が広がっているようですが、それでもまだまだ。この会場にいると、フランス人男性のショコラの食べっぷりに、圧倒されます。

 

 

 

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子供だってショコラが大好き。中でもシュセットと呼ばれる棒付きショコラは、子供に大人気です。ちなみに、ショコラ・ノワール(ビターチョコレート)もフ ランスの子供には大人気。あるお子さんに、「ショコラ・ノワールが食べられるなんて、すごいね。」と言ったら、「だってフランス人だもん。」と言っていま した。さすがの返答に、思わず苦笑いです。

 

 

 

 

 

 

 

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女性の中にはショコラペイントをしてサロンを楽しむ人も。まさにココはショコラのお祭り会場です。しかし、どの国も若い女性が色々なものに好奇心を持つの は全く同じ。初めての“カカオコスメ”や“ショコラ・マッサージ”に興味津々の女性が多く、「どんな香り?チョコレートの香り?」としきりに確認をしてい ました。

 

 

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ショコラで描くポートレート(肖像画)。パリ18区のモンマルトルの丘は多くの画家や芸術家が点在する有名な地域で、以前はユリトロやピカソも住んでいました。足元に根付いている絵画文化とショコラが融合した、パリならではの出店です。

 

 

 

 

 

 

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私の友人。中央アフリカ・コートディボアール出身で、現在某ショコラトリーでショコラティエールの修行中。会場で、一年ぶりに会いました。コートディボ アール、そうカカオの取れる国から来た女性です。中央アフリカはカカオ生産に携わる方々の労働条件に格差があることを時々耳にすることがあり、それは私も 前々から気になっていたのですが、彼女に“どうしてショコラの道を選んだの”と聞いたら、“だって美味しいじゃない”と返ってきました。もちろん彼女は自 分の国のことは、良く知っています。だからこそ“そのカカオで美味しいショコラを作るの”と、笑っていました。自分の行くべき道をまっすぐ進む、そんな彼 女の作るショコラは、間違いなく本物でしょうね。

そこに居る誰もが、笑顔に溢れる愛と幸せの祭典「サロン・デュ・ショコラ・パリ」。そこには長いフレンチ・ショコラの歴史の 中に、常に新しいショコラを創造する息吹が吹き込まれるから、伝統と新しさが融合する、魅惑的な場所となるのでしょう。このサロンがショコラを愛する人の 集いの場、語りの場として、そしてショコラのある幸せを分かち合う祭典として続くことを、きっと多くの方が望んでいるのでしょう。

かけ足のご紹介でしたが、いかがでしたか?まだまだご紹介したいことは沢山あるので、いつかまた、お店の話しやショコラティエの話しなどを交えてご紹介いたしますね。

 

 

2005/12/02
撮影:KASEDA noriyuki(一部筆者撮影を含みます)

 
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