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可可豆見聞録

Vol. 4 メキシカンなチョコドリンク2005/09/15

以前から心待ちにしていた、ジョニー・デップ主演の最新映画「チャーリーとチョコレート工場」が公開になりました。

ジョニー・デップと言えば、2000年の「ショコラ」で流れ者“ルー”役を演じた名俳優。ワイルドで、やさしくて、またチョコレートを口にする姿がセク シーだった「ショコラ」とは反対に、今回は世界最大のチョコレート工場を成功させつつも、一人ぼっちの王様となってしまった一寸コミカルな“ウィリー・ ウォンカ”役。白い肌におかっぱ頭、妙に歯並びの整った、エキセントリックでお世辞にも格好良いとは言えない異色の姿でしたが、それでも何故か彼にチョコ レートは良く似合っていました。

この映画、「チョコレートの川」や「お菓子の森」、「100匹のクルミ割りリス隊」など、映像が作り出すダイナミックな臨場感が素晴しいのですが、チョ コレートに関して時々専門的な内容が出てくる細かさも見られます。例えば工場内で働く、カカオ大好き“ウンパ・ルンパ”達が幸せ顔で働いている理由を子供 たちに尋ねられると、ジョニー扮する“ウォンカ”氏が、「チョコレートを食べると恋をしている気分になるから」と説明します。確かに、チョコレートの中の 成分には、“恋をしている”ときに脳の中で形成されるホルモン(フェニルエチルアミン)と同様の物質が含まれています。こういった内容をさらりと台詞に組 み込んでいるところに、計算された仕掛けが感じられます。

さて、この映画の中で、もう一人の主人公“チャーリー”少年が、「チョコレートの川」を掬ってゴクッと飲むシーンが登場します。一見注意しないと見落としがちな場面ですが、私は思わず反応してしまいました。まさか原液を?濃いでしょう・・・なんて。
通常飲むチョコレートは、チョコレートを牛乳で溶かして作ります。もちろん前回の“キリグアチョコ”のように、お湯で溶かすこともあります。前置きが長くなりましたが、そんな“飲むチョコ”繋がりで今回ご紹介するのは、メキシコのチョコドリンクです。

 

■ ■ ■

 

 

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メキシコではもともとチョコレートは飲用されていたもの。その文化の名残で、今でもスーパーなどには、通常の板チョコやチョコ菓子売り場の隣に「チョコド リンク用チョコ」なる売り場が設置されているのを良く見かけます。「チョコドリンク用チョコレート」と言えば、既に日本でも販売されているもの(例えば 「ミロ」など)が有りますが、こちらにはもっとトラディッショナルなものが存在します。グアテマラなどでも見られますが、メキシコはその種類が豊富。形状 は、板系のものとパウダー系のものとに大きく二分されます。板系と言っても一般的な板チョコとは異なり、丁度前回のキリグアチョコの“チョコ団子”を機械 で板状にしたようなもので、噛むとジャリジャリした粗い食感。これは砂糖(グラニュー糖)の粗い粒子がカカオマスと混じったシンプルなものであるからで す。前回もそうですが、このチョコレートは牛乳や水と溶かして「飲む」ためのチョコレートなので、粗くても問題無く、むしろ粒子が粗い分溶けるのが早くて 作りやすい利点が有ります。もちろん、そのまま食べても美味しくて、とっても素朴。

 

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通常のチョコレートは、微粒化した砂糖やカカオマスをココアバターで練り上げて作りますが、この「チョコドリンク用チョコ」はココアバターが含まれていな いか、含まれていても極少量。ドリンクのレシピも“牛乳or水(湯)とチョコレート”と記載されていることが多く、レシピ通りに作るとコッテリ濃厚なチョ コドリンク(ショコラショーなど)ではなく、サラサラのさらり系。私たちの良く知っているチョコドリンクに比べ、砂糖の量が多い分甘く感じるのですが、後 切れの良い清涼感で、カカオの香りや程よい苦さも感じられます。更に、殆どのチョコレートにシナモンの香りが付いて、とてもアロマティック。
特に水(湯)だけで作ったチョコドリンクには、始めての方は衝撃を受けるかもしれませんが、慣れると飲みやすいですしクセになります。夏になるとチョコ レートはつい敬遠しがちになってしまうのですが、メキシカンなチョコドリンクならば、水(湯)でサッパリ風味に仕上げ、冷やして美味しく頂けます。クーベ ルチュールチョコレートで作る冷たいチョコドリンクは、ココアバターの影響で冷えるとトロリと高濃度になりますが(これはこれでとても美味)、こちらはコ コアバターの油分が少ないので、サラサラ。ゴクゴク飲んでもお腹にもたれそうに有りません。例えれば、「チョコレート甘水」と言ったところでしょうか。

 

但し、これらは市販で購入できる「チョコドリンク用チョコレート」の添付レシピでチョコドリンクを作った場合の話。専門店などによっては、若干濃度の異な るところもあるでしょう。実は私もまだメキシコの専門店でチョコドリンクを飲んだことが無いので、次回は名産地オアハカ州の専門店で、本場ものを頂こうと 思っています。
この「チョコドリンク用チョコレート」、日本では一部のネット通販などでは取り扱いが有りますが、まだまだマイナーな商品。これだけ様々なチョコが市場で見られるようになってきたのですから、いつか一般市場に登場するかも知れませんね。

 

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前回のキリグア村のチョコレートは「晴れの日に頂くもの」でしたが、メキシコでは毎日飲む人も多いそうです。チョコレートは、決して安いものでは有りませんが、確かに、これを毎日飲んだら健康で楽しい日々を過ごせそう。 現在はどのくらいの方が使っているかは分かりかねますが、「モリニーニョ」(写真右)という撹拌棒を使って温かいチョコドリンクを縦長のポッドで泡立てて作るのが、本格的な作り方。更にはチョコドリンクを作る時の湯の温度にも、細かなこだわりがあるとか。
そう言えば、牛乳・クリーム・水の混合物に、チョコレートを加え、隠し味にトウモロコシの粉とインスタントコーヒーを加えるアレンジ版のレシピも見かけ ました。一体どんな味なのか、かなり謎めいていましたが、でもきっと、未体験の魅惑的な味に違いないと思います。メキシコ中を探せば、もっと変わったチョ コドリンクに出会えるかもしれません。何しろココはチョコレート文化の発祥国ですから。

 

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「チョコドリンク用チョコレート」市販品は現地のスーパーで購入できますし、中でも有名なオアハカ州産のものは、主要観光地で取り扱っていることもあります。
メキシコに行かれる際には、是非お土産に「チョコドリンク用チョコレート」を。パッケージにかわいらしいおばあちゃんがチョコレートを飲む姿、修道女が チョコレートを運ぶ姿、アステカ族らしき人がチョコレートを手渡す姿など、メキシコらしいデザインが施されていて、お土産にはピッタリ。
そうそう、メキシカンバニラやその濃縮液(写真右)、ユカタンハチミツ、シナモンや唐辛子など、隠し味に美味しいサイドアイテムも充実。こちらも是非、お忘れなく!

 

 

 

2005/09/15

 
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