- Vol. 2 キリグア村とマルセロさんのカカオ2005/07/18
チョコレートの原料は、カカオ豆。そのカカオ豆が採れるカカオの木は、熱帯雨林気候で育ちます。そんなカカオ達に会いに行こうと、6月初旬、グアテマラのキリグア村を訪れました。

「グアテマラ・・・?」と、聞き慣れない方がいらっしゃるかもしれませんね。世界地図でメキシコを思い浮かべてみて下さい。その南側に位置するのが「グアテマラ」です。人口は日本の約1/10、国土面積は1/3以下の国で、低地の熱帯雨林地域の他、常春のような気候を持つ地域、山間では寒いときには氷点下になる地域と、 様々な気候を持つ国です。今回、私は高地の古都・アンティグアから熱帯のキリグア村へと移動しましたが、確かに同じ国とは思えない環境差。 移動の間に、着ていた洋服の枚数が減っていました。キリグア村は紛れも無く熱帯の気候。その証拠に、持参したチョコレートは暑さで溶けました。
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キリグア村は人口約3000人の小さな村。のんびりとしていて、人々の間にも都市部とは違った空気が流れています。東京から 着いたばかりの私にとっては、鶏の声で目が覚めたり、夜中に熱帯フルーツが熟して大地に落ちる音がしたり、耳を済ますと沢山の自然の音を感じることが出来 る場所。澄んだ空気の中で輝く朝陽も美しくて、自分がどこかに立ち返られるような、そんな感覚にもとらわれます。村から程無いところにある、マヤ文明の遺 跡もまた、神秘的で魅力的。遺跡へ向かうまでの道には、米国フルーツ会社の広大なバナナ農園が広がります。遥か遠く、空と陸の境までも、果てしなくバナ ナ・バナナ・バナナ・・・。
熱帯雨林の中にあるキリグア村、バナナ以外にも南国フルーツが沢山。マンゴー、チコの実、マメ イ・・・。どれも味が濃く、フレッシュ。放牧もしているので手作りバターが美味しく、鶏は放し飼いなので身がしまって美味しく、卵は色も味も濃く、暑い中 で飲むビールは最高で・・・、もう何を食べても美味しくて、カカオを見に来たのに他の食材の虜になって危うく帰るところでした。植物も動物も自然な姿、だ から本当に素材が美味しい。もちろん、この料理を作って下さった方の腕があっての話ですけど。
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さて、そんなキリグアで唯一の日本人「真幸(まさき)さん」に、この村で一番笑顔がステキで頼れるおじさま、「マルセロさん」をご紹介頂きました。その目 的は「カカオの木」。そう、マルセロさんの“家の庭”には、何とカカオの木があるのです。通常私たちが食べているチョコレートは、農園で管理されたカカオ を原料とすることが多いのですが、マルセロさんのカカオの木は限りなく野生種。いやもしかしたら手を加えていないとうかがったので、野生種そのものなのか も知れません。何より、自然の力を借りて、スクスクと育ったカカオの木なのです。今回の滞在は、このマルセロさんのカカオ豆があってこそ。なぜなら、翌日 はこのマルセロさんのカカオ豆で、チョコレートを作るのですから。

手を加えていないためか、マルセロさんのカカオポッド(カカオの実)は農園の栽培種より小さめ。でも中には種(のちのカカオ豆)がギッシリ詰まっていま す。カカオポッドの中の果肉(パルプ)と種は、まるでトウモロコシのような外観。一見コレがチョコレートになるの?という感じですよね。チョコレートの原 料“カカオ豆”に至るには、この“種”を果肉ごと醗酵させて、乾燥させる道のりが必要なのです。ちなみにこの果肉、肉質は薄いですが、食べるとパッション フルーツと若いマンゴーを掛け合わせたような味がして、とても美味。話によると、ご近所の子供達も大好きとか。おやつ代わりに種と一緒に果肉をシャブっ て、最後に種を道端にポイッ。日本ではカカオの果肉は滅多に口に出来ないので、内心ちょっと羨ましい話です。
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マルセロさんにご挨拶をした後は、マルセロさんのお隣の家で、観察用のカカオポッドを頂いて・・・、そう、お隣の家にもカカ オの木があるのです。滞在中にキリグア村を回ると、有りました!あちらの家にも、こちらの家にも、向こうのマンゴーの木の下にもと、村中いたるところにカ カオの木。マルセロさん同様、結実しているカカオポッドはどれも小さめですが、予想以上のカカオパラダイス。収穫期の4月、5月は過ぎていましたが、それ でもカカオポッドは有りました。基本的には1年中実がなる木ですからね。木陰が多く、少し湿った小道に入ると、お目当てのカカオの木は沢山見られます。も ともとカカオの木は「シェード・ツリー」と総称される大きな木の木陰で、日光を避けながら育てることが多い(これは受粉に関与)ので、こういった場所はベ ストポイント。ここキリグア村では「マドレ(母)・カカオ」と呼ばれるシェード・ツリーも見ることが出来ます。そうです、カカオの木に安らかな木陰をもた らす、お母さんの木なのです。
日陰が必要なカカオの木は、とてもデリケート。病気にも弱いですし、気温の変化や、環境の変化を嫌います。例えばカカオの木を植え替えると、たちまちの 内に枯れてしまったり。植え替えの難しいカカオは、種から定位置で育てなければならないこともあるそうです。品種改良の進んでいる農園のカカオの木は、苗 を育ててから地面に植えることが多いですが、ここの場合はなかなか難しいようです。意外かも知れませんが、チョコレートの“もと”は、とっても×とっても 繊細で、か弱いのです。
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この豊かな自然の恵みと、村の人々の愛情を受けたカカオの行く末は、キリグア村の、あるいはグアテマラの人々のチョコレー ト。グアテマラ西部ではチョコレートを口にすることが多いそうですが、キリグア村ではクリスマスや特別な日に頂くそうです。カカオ生産地と消費地の違いで すね。本当は、もっと沢山キリグア村や、村のカカオについてお話ししたいのですが、すべてをお話したらまだまだ話がつきませんので、今回はココまで。
と言うことで、次回は5月に収穫したマルセロさんのカカオで作る、グアテマラ・キリグア村式チョコレート作りです。私達の知っているチョコレートとはまた違う、とてもトラディッショナルなもの。ステキなマリア先生も登場します。ではまた、次回に!
2005/07/18






